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女性ゼロ議会の羽後町を訪ねて

女性ゼロ議会の羽後町を訪ねて_c0166264_858301.jpg秋田県南の羽後町は、女性ゼロ議会である。人口は16000人余り。町議会議員16人に女性は1人もいない。

7月23日、その実態を聞くため、全国フェミニスト議員連盟として町長に面会を申し込んだ。

羽後町は、周囲を山に囲まれた古い町で、主要産業は農業と観光。とくに「西馬音内の盆踊り」は有名で、たくさんの観光客が訪れる。町の庁舎の前には、盆踊りをする女性を描いた大きな看板があった。

秋田魁新報社の記者と、地元の女子高校生が同席した。この女子高生が、将来、議会の議席に座る1人になってほしいと思いながら、話を進めた。

女性ゼロ議会の羽後町を訪ねて_c0166264_8514629.jpg少子高齢化は女性の生き方に大きく関わる問題である。町のありかたを決める議会の場に、女性の代弁者がいなくては、住みやすい町への政策づくりに対応できない。候補者に女性が出やすくなるような啓発や工夫をしてもらえないか・・・などと口火をきった。

町長からは、次のような趣旨の答えが返ってきた。
「16人の議席に16人の候補者しか出ず選挙がない。男性の候補者ですら探すのが大変なのだから、女性どころではない」「女性を増やすには国で何割を女性にという法律をつくるのが早い、こういう町では困難だ」

国の政策で「2020年まで30%を女性に」という方針があることも、力説した。しかし、「女性の意識がそうなっていない」とにべもない。とはいえ、「選挙になると、住んでいる地域ごとに候補者が決まるので・・・」と言った。女性の出る幕がない候補者選定過程の問題点が浮かび上がってきた。

女性が立候補するには、この慣行を破らなければならないのだ。いかに困難を強いられるか、想像に難くない。

女性ゼロ議会の羽後町を訪ねて_c0166264_92126.jpg羽後町長との面談は、男女平等政策に関心の高い加藤麻里秋田県会議員が車を運転して同行してくれたから、可能になった。

加藤議員は、「人口の少ない羽後町のようなところでは、あそこの嫁さんは、あそこの娘さんはこういう人だとか、みなわかってしまう。こういうところで町の議会に女性が進出するのは、非常に難しい」と語った。

女性ゼロ議会の羽後町を訪ねて_c0166264_1544165.jpg盆踊りで町の観光を引き受けてきた女性たちの経験や知恵を、町の活性化政策につなげたら、さらに発展するはずだ。

町の生き残りには、女性の声が必要なのだ。「学校では女の子がどんどん生徒会長を引き受けています」と町長が言ったが、学校ができて議会ができないはずはない。ガンバレ、羽後町!

【写真上】手をあげているのが大江町長。後ろの歴代の町長写真。男性ばかりだ。
【写真中】盆踊りの女性をシンボルにした町の観光宣伝用看板。右は加藤麻里議員
【写真下】市役所敷地内に設置された銅像。上半身裸の若い女性の像。題は「ブルージーンズ」。作家は男性。いつ頃、誰が、どのような場で、どのような意義をこめて、このような銅像を置くことを決めたのだろうか。盆踊りの看板、上半身裸の銅像ーー女性は男性の対象物として存在する。そして議会には誰一人いない。
【写真最下】羽後町長室にて、加藤議員、三井、地元の女子高校生(これのみ秋田魁新報社記者撮影)
by bekokuma321 | 2012-07-24 07:40 | その他