クオータと女性運動が鍵ーー下諏訪講演会報告

(長野日報、2012.6.15.クリックすると大きくなります)

6月14日、長野県下諏訪のホテル山王閣で、「世界の女たちは今」と題した三井マリ子さんの講演会があった。

眼下に諏訪湖が広がる会場には、長野県内はもちろん、遠くは大分県、山口県、愛知県などから約80人が集った。主催は、地元下諏訪で永く町議をつとめ、長野県内の女性議員増に努力してきた樽川通子さんがけん引してきた「政治学習塾しなの」。

三井さんの話は、この4月発売された『バックラッシュの生贄ーーフェミニスト館長解雇事件』に詳述されている体験から始まり、世界の女性の運動に移り、そして、私たちは今何をすべきかに迫った。

日本の女性議員比率(衆院)は、20年前、世界の中で121位だったという。それが今134位へと順位を落としている。この日本女性の悲しい現実の裏にあるもの、それは、ずばり“バックラッシュ”である。三井さんはホワイトボードに、「バックラッシュ=反動」と書き、男女平等推進を後戻りさせようとする反動的政治勢力である、と説明した。

バックラッシュ勢力は、男女平等に努力する女性が成果をあげようとすると、その女性をターゲットにし、陰湿、暴力的なやり方で排斥しようとする。狙い撃ちされた三井さんは、この勢力の思い通り、いったんは職場を完全排除された。しかし、そのまま引き下がらなかった。あしかけ7年の歳月をかけ、最高裁までを闘い抜いた。それを最高裁は、バックラッシュ勢力に屈して三井さんを首にした豊中市や財団を「人格権の侵害であり違法である」と断罪した。

「男女共同参画社会はトイレやお風呂が男女一緒になる」、「フリーセックスとなり家庭や社会が崩壊する」などという嘘やデマを流し、多くの人に畏怖感を与えてきたバックラッシュ勢力の言動に、司法が初めて歯止めをかけた。

三井さんが長く研究してきた北欧ノルウェーは、クオータ制の国だ。物事を決める場は一方の性が40%いなければならないというシステムを持つ。そのおかげで政界はほぼ男女半々になった。

今のノルウェーの課題は、男女の賃金の完全なる平等である。国政選挙前に、女性団体や労働組合が主になって、政党にこの要求をつきつけるのだという。三井さんは、持参した1枚のポスターを会場にはった。女性看護師の顔が大写しになっている。鼻の下に髭が書かれている。顔の下にはノルウェー語で「ひと筆で格差はなくなります」。髭は男性の象徴だ。

女性は男性と同じ仕事をしているのに、女性だから賃金が低い。ならば、男性に変われば(髭をつければ)賃金はあがるんです、と皮肉たっぷりに訴えているのだという。選挙前に、主要新聞やインターネットにこのポスターを掲載した。その経費4000万円。女性が主体の看護協会から拠出された。

ノルウェーに限らず、世界は、日本の女性議員増加率をはるかに超えて、スピード感をもって増やしている。その秘密は「クオータ制」と「女性運動」にあり、と三井さんは言う。

後、議員経験あるいは立候補経験を積んできた各地の女性たちからの現状報告が続いた。

女性が当選しにくい日本の制度を変える必要はあるが、その困難な日本の現状を超えてなお、女性議員を出そう!出てください!と、締めくくって会は終了した。

岡 田 ふ さ 子(『バックラッシュの生贄』を広める会)
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by bekokuma321 | 2012-06-15 10:11 | その他