●連載● クオータ制は平等社会への一里塚 第4回

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欧州連合EU議会は35%が女性

                   三井マリ子(全国フェミニスト議員連盟国際部)

1995年の阪神大震災の後、災害復興に欠けていた女性の視点を貫き、獅子奮迅の働きをしていた正井礼子さんに私は言った――「議会に女性への暴力に取り組む女性がいないことには、変革は難しい。議員になってください」

1999年春、正井さんは悩みながらも神戸市議に挑戦した。無念!次点だった。当選はできなかったが、彼女の経験や知恵は、NPO法人「ウィメンズネット・こうべ」を通して広がり、今、東北大震災の復興対策に生かされつつある。

でも、北欧やEUだったら、正井さんは国会または地方議会で予算を動かす立場にいて、さらに影響力を及ぼしていただろう。

正井さんだけではない。「女性の人権」に敏感で行動力あふれる女性運動家は、全国に数多い。あの顔、この顔…。だが、こういう人たちが日本で当選するのは難しい。

私は、1994年春、ベルギーのブリュッセルにある欧州委員会から招かれて、欧州連合EUの男女平等政策の調査に携わった。いま欧州議会は35%が女性だが、当時はわずか19%。欧州議会選挙を控えて、欧州委員会男女平等機会局が「女性議員を19%から25%に」というキャンペーンを展開していた。

キャンペーンの担い手は、男女平等機会局の中の「決定権を持つ女性」という名の専門部だった。オフィスでは、「世界の親の81%が父親で、19%が母親なんて想像できますか」「なぜ、毎朝、議会の81%の人が髭を剃らなければならないの」という皮肉たっぷりのスローガンが考案され、パンフやテレビ広報用スキットができていた。これを加盟国に流すのだと言う。活動は公費で賄われる。

欧州委員会はいわば行政機関で、これに並列してストラスブルグに欧州議会がある。議員は、加盟国ごとの人口比で議席が配分され、それが各国民の手で選ばれる。時の政府が代表を決める国連などとは、全く違う。選挙は比例代表制が原則である。英国のように通常は小選挙区制の国であっても、欧州議会議員を選ぶときは比例代表制なのである。

比例代表制だと、各国の政党は、「クオータ制を採用せよ」と主張しやすい。この結果、女性や社会的弱者が当選しやすくなる。「35%が女性議員」は、こうした仕組みから生まれた。


(全国フェミニスト議員連盟「AFER」 73号 2012.5 より転載)
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by bekokuma321 | 2012-06-12 20:30 | ヨーロッパ