2012年 05月 15日
「彼は負け、私たちは勝った」--ブレイビク裁判
昨夏、襲撃されたのは、オスロのウトヤ島で夏合宿をしていた労働党青年部メンバー。先週から、生き延びた人たちの証言が次々に行われている。
NRKの今日の報道によると、フリーダ・ホルム・スコールンは、まず襲撃犯の目の前で証言はできない、と言った。ブレイビクは法廷から退席させられ隣席で彼女の証言を聞くことになった。
「彼は負け、私たちは勝ちました。彼はノルウェーの若者が泳げることを知らなかったのです」
彼女の強いメッセージで、これまで憎しみと怒りと悲しみにおおわれていた法廷に、初めて笑いがこぼれた。
彼女は20歳。夏合宿参加者のほとんどは10代であり、彼女はリーダー格だった。彼女とともに、事件を察した約20人は、冷たい海に飛び込んだ。
すでに腿を撃たれており、さらに膝を骨折し、1本の足だけで泳ぐしかなかった。「止まれ、もどれ」という警察官の服を着た男(ブレイビクは警官に仮装していた)が叫んだ。助けかと思ったが、逆に撃ってきた。弾丸がそばに飛んできた。おぼれそうな時もあった。
泳いでいる間、「若者たちへ」という歌を歌った。1時間ばかり泳いだところを救助船に助けられ、命びろいした。
その後、傷害の克服ばかりか、自責の念にとらわれ、苦しい日々を過ごした。彼女はエストフォル県の代表だった。県から参加した若い3人を失った。
事件の悲しみと恐怖がまだいえない中、数カ月後に統一地方選挙があった。19歳だった彼女は、エストフォル県ストッケStokkeの市議会議員(労働党)に選出された。
報道によると、20歳の女性フリーダ・ホルム・スコールンは長い髪にマーガレットの花飾りをして法廷に現れた。優しそうなまなざしと静かな口調。しかし、語った中身は、ノルウェー女性のたくましさそのものだった。
彼女たちが地獄の苦しみの中で歌った歌「若者たちへ」の和訳はこちら。
◆美と温もりを愛でし時まで
http://frihet.exblog.jp/16772108/
■Fridas beskjed til drapsmannen: «Vi vant, og han tapte»
http://nrk.no/227/dag-for-dag/fridas-beskjed-til-drapsmannen-1.8135811
■Frida (20) : - Vi vant, han tapte, og norsk ungdom kan svømme
http://www.aftenposten.no/nyheter/iriks/22juli/Vitne---Vi-vant_-han-tapte_-og-norsk-ungdom-kan-svomme-6828194.html
■http://www.nrk.no/nyheter/distrikt/ostafjells/vestfold/1.7793615