ヨーロッパの排外主義と日本のバックラッシュ

アリ・エスバティAli Esbatiは、昨夏のノルウェー襲撃事件のとき、オスロのウトヤ島にいた。労働党青年部から講師に招かれていたのだ。彼は、奇跡的に死をまぬがれた。BBCが報道する。

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      [オスロの小学校5年生たち。多様な人種のクラスメート▲]

4月16日、襲撃犯ブレイビク被告は、オスロ法廷でに初出廷した。なぜ大量殺りくを犯したのか、その言い分を聞かねば。アリ・エスバティは法廷に行った。個人的にも絶対聞き逃せなかった。

アリはイラン系スウェーデン人。イランからスウェーデンに9歳の頃、母親と移住。スウェーデンの左派政治家だった。現在ノルウェー在住のジャーナリスト。彼のサンボー(事実婚の連合い)は、ノルウェー紙のジャーナリストMarte Michelet。彼女は、人種差別問題に通じており、頻繁に書いている。

あの襲撃事件の2日前、ウトヤ島の労働党青年部夏合宿で、Marte Micheletは「人種差別とイスラム嫌悪」について演説をした。

逮捕された後、ブレイビクは、彼女の実名をあげて彼女を攻撃した。襲撃の日を、7月22日ではなく彼女の演説があった2日前に計画していた、とも語っている。

アリとマルタの間には、小さな子どもがいる。ブレイビクが忌み嫌う「ノルウェーを破滅させる第三世界の子孫」だ。アリ・エスバティは、BBCにこう語る。

「このような考えは極端ですが、不幸なことに、勢いを増しており、ヨーロッパの政治論争の中で普通になり、主流化しつつあります。その考えとは、イスラム教徒はやっかいだ、ヨーロッパ諸国で戦争のような事態になっている、それに対して政治的対抗措置をとるべきだ、というものです」

さて、ノルウェーの襲撃事件は他人事ではない。ブレイビク被告の言い分と、日本のバックラッシュ勢力の言い分は非常によく似ている。

バックラッシュ勢力は言う――「フェミニズムは共産主義である。ソ連で失敗したマルクスレーニン思想だ。日本の家族を崩壊させ、日本国家を滅亡させる」。

こうした根も葉もないデマが日本を覆い始めたのは、2000年ごろだった。あちこちで、この人たちは、男女平等政策をつぶし、フェミニズム関連の図書を閲覧禁止にし、講師をはずしては、快哉を叫んてきた。何年たっても、日本の民法が改正されないのも、こうした政治勢力がはびこっているからだ。

『バックラッシュの生贄――フェミニスト館長解雇事件』(旬報社)が、この4月発刊された。ぜひ一読してほしい。

「女叩きの張本人は誰なのか?政治と行政がつるんで男女共同参画政策を後退させていく裏舞台が、三井さんの不屈の闘いでオモテに暴露された。豊中で起きたことは全国でも起きている。三井さんの智恵と勇気に学びたい」---上野千鶴子(東京大学名誉教授)

「ジェンダーに関心を持っている人は、必読。バックラッシュ派は、日本会議や新しい歴史教科書や在特会など、名こそ違え、次々現れては行政を脅す。執拗な恐喝、暴力……こういう勢力とは誰だって闘いたくない。バックラッシュ派の攻撃によって、男女平等政策は後退する。 そんな構図がまるでドラマを見ているように次々と展開していく。すべて実名で登場し、読みだしたらやめられない」---正路怜子(働く女性の平等への挑戦・裁判基金)

http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-17750133
http://www.dagbladet.no/2011/11/18/nyheter/innenriks/terror/terrorangrepet/anders_behring_breivik/19079395/
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by bekokuma321 | 2012-04-18 11:20 | ノルウェー