元最高裁判事泉徳治さん、婚外子撤廃の集会へ

c0166264_16545946.jpg4月14日、最高裁判決で、相続差別は憲法違反の少数意見を書いた、泉徳治さんの講演を聞いた。主催は「なくそう戸籍と婚外子差別・交流会」

泉さんは、最高裁の元判事。最高裁小法廷による相続差別の合憲判決において、「相続差別は憲法違反」と2回も少数意見を出した。

泉さんは、ホワイトボードを使って、話はじめた。明治時代にさかのぼって。

明治民法に、「婚外子は、婚内子の半分しか相続分がない」と書かれていると言った。つまり、相続差別の撤廃は、114年間にわたる差別への闘いだという。

新憲法ができて、個人の尊厳と両性の平等が明記された。その憲法にそって民法はつくられた。しかし、1948年施行の新民法には、「摘出でない子の相続分は、摘出である子の相続分の2分の1」と書かれたまま。明治民法と同じだった。

この新民法900条4号ただし書きが、憲法14条違反の対象となる。

1948年の新民法が、新憲法に合致してつくられていれば、婚外子差別撤廃の闘いなど不要だった。この新民法から見ても、63年間の闘いになる。(続きは左下More)

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1979年 法務省民事局参事官室「相続に関する民法改正要綱試案」が出た。しかし、時期尚早とされてしまう。

同年、国際人権B規約批准。「すべての子どもは、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、国民的もしくは社会的出身、財産または出生によるいかなる差別もなしに、未成年者としての地位に必要とされる保護の措置であって家族、社会及び国による措置について権利を有する」

1994年、子どもの権利条約批准。2条「子どもまたはその父母もしくは法廷保護者の人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的、種族的もしくは社会的出身、財産、心身障害、出生または他の地位にかかわらず、いかなる差別もなしにこの条約に定める権利を尊重し、及び確保する」

条約を批准したら、日本の法律と同じ効力を持つ(自然執行力)。しかし、日本では実際は効力をもっていない。

2008年、国籍法の婚外子差別は違憲

2010年、東京高裁で違憲

2011年 大阪高裁で違憲

2011年、名古屋高裁で違憲

上記のように、2000年代末から、違憲判決が多くなってくる。しかし、2003年と2004年の最高裁は合憲判決だった。その時、違憲の少数意見を書いたのが、泉徳治さん。泉さんの違憲理由は、

「本件規定(民法900条のこと)は、法律上の婚姻を尊重するという立法目的に基づく。その目的は正当性が認められる。しかし、相続分の2分の1とする手段は、この目的促進に寄与する程度は低い。したがって、合理性は弱い。一方、平等原則、個人の尊重・尊厳にかかわる犠牲は重大」

さらに、立法府が動かない実態を指摘し、だからこそ司法の救済が大事だという。

「本件が提起するような問題は、立法作用によって解決されることが望ましいことはういうまでもない。しかし、多数決原理の民主制の過程において、本件のような少数グループは代表を得ることが困難な立場にあり、司法による救済が求められていると考える」

途中、欧州人権裁判所European Court of Human Rightsの話を紹介した。Council of Europe47カ国に効力がある。フランスなど、ヨーロッパでも婚外子差別を変えない国があったが、欧州人権条約違反だとする欧州人権裁判所の決定で、各国の国会が、嫌々変えた。こういう問題は、裁判所が一歩前に出なければならないと、所長が言っていたという。

ヨーロッパは、国会がダメでも、こうした国際司法システムがカバーしている、と泉さんの話を聞いて思った。

4年前、欧州人権裁判所を訪問した際、副所長(女性)が、「日本は、条約の執行権を持っているのか」と聞かれたという。それは、死刑についてだった。

泉さんは、合憲とされた判決で、違憲の少数意見を出した裁判官の経歴を言い、「この人は行政経験がプラスに働いた、この人は大使、この人は労働省の役人だった・・・」などと述べた。

泉さんの場合は、どうして日本の主流とは違う判断を出せたのだろう。アメリカでの留学経験、ヨーロッパ諸国の法律家との交流の深さがあったことが、プラスに働いているのではないだろうか。

泉さんが指摘したように、日本の婚外子はわずか2%(上のグラフ)。98%対2%だ。この2%を代表する議員を出せない選挙制度なのだ、日本は。

婚外子出生割合:
スウェーデン54.7
フランス   52.6
イギリス   45.4
日本      2.1

グラフにはないが、ノルウェーは56%(2008年)。1950年には3%だった。ノルウェーは、1915年、世界で最も早く婚外子差別をなくした。

ちなみに、出生率は、スウェーデン1.88、フランス1.98、イギリス1.84、ノルウェー1・90、日本1.37.
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by bekokuma321 | 2012-04-15 02:27 | その他