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男性のおむつ替え

ノルウェーには、保育士の6割が男性の保育園がある。その背景はこうだ。

ノルウェー政府の最重点政策のひとつは、男女平等である。

実は、この日本も、国法に、男女平等の社会をつくることは「国の最優先課題」と明記されてるのだが…。ノルウェーに話を集中しよう。

ノルウェー政府は、まず政策決定への女性進出を促し、政界の男女平等をすすめた。結果、内閣の半分、議会の4割が女性となった。政党に至っては、7政党のうち5政党の党首が女性となった(写真)。

第2に、家庭内の男女平等を促すために、父親の育児休業を充実させてきた。結果、新しくパパになった男性のパパ・クオータ取得率は、9割だという。そして第3に、一方の性に偏った職場をなくす施策をすすめてきた。この第3の方策で効果をあげつつあるのが、女性に偏っている保育園の変化だ。

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男性が6割に増えた保育園が出たとはいえ、平均割合はまだ1割だ。

そんなノルウェーで、昨日、平等と反差別オンブッドが、このテーマに声をあげた。

「男性保育士がおむつを替えなくてもいいと言っている保育園がある。おかしいではありませんか。おかしいだけでなく、男女平等の破壊です」

実は、国の推進施策にこたえるべく、多くの保育園で、男性が応募したくなるような募集要項やPRに余念がない。中には、保育園に就職しても、男性は男性でいられるようなメッセージを送ったほうが、より多くの男性が集まると考えた保育園があった。そのメッセージは「男性の先生は、おむつを替えなくてもいい」。こう言ったのは、ヤ―レン地区のテ―ム市の保育園だ。

そのメッセージに対して、平等と反差別オンブッドがかみついた。平等と反差別オンブッドとは、以前の男女平等オンブッドだ。政府機関だが、政府とは独立して、平等社会をつくるため監視を続ける。

「最終目的――もっと男性に保育園で働いてもらうーーはいいのですが、やりかたが間違っています。女性がやってきた仕事は重要な仕事であり、性に関係なく男性もすべきだと考えているのです。それを男性に免除するなどと、保育園でやられては、ぶち壊しです。おむつを替えることに楽しみを見出している父親も多く、これは、そういう男性に対する侮辱です」と容赦ない。

今、賛否両論、官民あげて、激論を交わしている。それを、主要新聞が大きな紙面をさいて、シリーズで丁寧に扱う。だから、「おむつ問題」は社会の重要なテーマだと、皆が思う。

男女ともに、あたりまえに外で仕事をし、内では家族とすごせる平等社会をつくるためには、こうしたプロセスが大切なのだ、と考えた。

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■Barnehagen med 60 prosent men
http://www.aftenposten.no/jobb/Barnehagen-med-60-prosent-menn-6790079.html
■I barnehage på Jæren slipper menn å skifte bleie
http://www.aftenposten.no/nyheter/iriks/I-barnehage-pa-Jaren-slipper-menn-a-skifte-bleie-6800577.html
■Mannlig bleiefritak er ødeleggende
http://www.aftenposten.no/nyheter/iriks/--Mannlig-bleiefritak-er-odeleggende-6800689.html

【写真上、選挙後の党首インタビュー@ノルウェー国会議事堂、2011年9月】
【写真下、オスロ大学の中にある保育園。保育士(左)は男性、2010月夏】
by bekokuma321 | 2012-04-09 19:04 | ノルウェー