4月6日 営業ウーマンの逆襲

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★★★ 営業ウーマンの逆襲 ★★★ 

聞いてください ! リコー子会社のセクハラ&パワハラの 730日

日時:2012年4月 6日 (金) 18:30~21:00
場所:東京ウィメンズプラザ視聴覚室 

夏井香織さんは、リコー子会社の大勢の男性営業職のなかの、たった一人の女性
でした。上司や同僚から度重なるセクハラ・パワハラを受け続け、極度のストレ
スに。それでも仕事を頑張ってきた彼女を会社は首にしました。裁かれるべきは
セクハラ・パワハラを放置してきた会社であり、夏井さんではありません。これ
は日本のすべての働く女性の問題です。真相を知る会にぜひご参加ください。

●「女は身体で仕事をとってない!」夏井 香織(元リコープロダクションプリントソ
リユーションズ・ジャパン㈱ 社員)
●「意見書を提出して」浅倉 むつ子(早稲田大学大学院教授)
●「本裁判の経緯と展望」滝沢 香(弁護士)
●「女性差別裁判に勝つには」三井 マリ子(館長雇止め・バックラッシュ裁判元原告)
司会:伊藤 みどり (働く女性の全国センター代表)

東京ウィメンズプラザへのアクセス
東京都渋谷区神宮前 5-53-67 03-5467-1711
●交通のご案内●
JR山手線・東急東横線・京王井の頭線:渋谷駅下車徒歩 12分
地下鉄銀座線・半蔵門線・千代田線:表参道駅下車徒歩 7分
都バス (渋 88系統):渋谷駅からバス 4分青山学院前バス停下車徒歩 2分

リコープロダクション性差別裁判を支援する会(仮)
台東区東上野1-20-6 働く女性の全国センター気付(03-6803-0796)





★原告と弁護士の依頼に応じて、東京高裁裁判長に出した文章です。
この事件がいかに女性差別に満ちたものか、つかんでいただけると思います。

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東京高等裁判所民事第21部
裁判長 斎藤 隆  さま

                             2012年2月8日

               住所 (ネットアップ用として省略)
               氏名 三 井 マ リ 子(女性政策研究家)
               
上 申 書

■「労働者の愚痴」ではない

第一審の判決は、事実を間違えて認定しています。原告夏井香織さんの主張する事実を再度詳細に見直して、再認定をしていだきたく、ここに上申書を提出いたします。

判決によると、夏井さんの主張は「日常的に職場に不適応を起こしている労働者の愚痴の域を脱しないもの」であり、インフォプリント・ソリューションズ・ジャパン(現リコープロダクションプリントソリューションズ・ジャパン)が、「解雇を企図した行動をとっているという原告の主張を採用する余地は存しない」、とされています。

夏井さんの「陳述書」を読むと、なぜ、裁判長が「労働者の愚痴の域を脱しない」などと認定されてしまったのか、まったく理解に苦しみます。

夏井さんが、職場の上司や同僚から、日常的かつ継続的に、いやがらせ、嘲笑、屈辱、脅かしなどを受けたことは、あまりにも明らかです。彼女の被害の程度は、仕事を続けること、いや、生きてゆくことさえ脅かしかねないほどに、度が過ぎています。それは、「社内で涙があふれ出る」「めまいや立ちくらみ」「階段から4回ほど落ちそうになった」という症状に始まり、「不眠」「めまい」「偏頭痛」「下痢と嘔吐」「食欲不振」などと深刻度が増し、やがて通院するようになり、「睡眠薬、精神安定剤、頭痛薬を処方される」事態になったことで明らかです。

こうした報告を読み、言葉にならない精神的苦悩の深さは、いかばかりだったろう、と私は推察いたします。労働者の愚痴どころか、命を削る思いで訴えていることは明らかです。その事実を直視し、そうした事態に至るまで注意を怠った側の責任を明らかにするべきです。

夏井さんの受けたハラスメントのうち、パワーハラスメントについては、すでにいくつか書面が出ていますので、私は、セクシュアルハラスメント、すなわち「相手の意志に反して行う性的な言動」について、裁判官の皆様の理解の一助となればと考え、ささやかな経験と知識をもとに一筆したためます。

■東京都のセクシュアルハラスメント対策設置に携わって

私は、約30年間にわたって、男女平等推進に関する執筆、講演、評論、ロビー活動などを続けてきました。職業としては、都立高校教員、東京都議会議員、大阪府豊中市男女共同参画推進センター館長、福井県武生市(現越前市)男女平等オンブッド、大学講師などを歴任して参りました。セクシュアルハラスメントに関しては、事例や対策を書いた『セクハラ110番』(集英社)を出版しております。

今から20年以上も前の東京都議会議員時代のことです。

多くの女性からの相談や女性団体の調査結果から、セクシュアルハラスメント防止対策が必要だと考えた私は、議員として何かできないかを探りました。そして、日本の公的機関としては初めて、東京都労働経済局にセクシュアルハラスメントの相談窓口を設置させ、相談件数や被害内容を明らかにさせました。その結果、東京都において、日本初のセクシュアルハラスメント防止対策を誕生させることができました。

そこに至るまでの道は平たんではありませんでした。セクシュアルハラスメントという言葉さえ、1970年代までは、この世に存在していませんでした。1980年代初頭、アメリカの大学院に留学していた私は、当時アメリカで報道され始めたセクシュアルハラスメントの概念や裁判例を日本に要約して伝えました。日本でセクシュアルハラスメントなる言葉が使われ出したのは1980年代中ごろからだと思います。

当時、セクシュアルハラスメントについての訴えは、単なる「女の愚痴」でした。「ことを荒立てず、女が我慢すれば済むこと」……これが一般通念でした。実際、上司・同僚からの性的からかいや脅かしをされた女性たちには、まさにトイレで涙し愚痴をこぼすくらいしか、なすすべはありませんでした。

そうした社会的通念に抗して、「いや違う、それは女性が働き続けることを侵害する深刻な労働問題であり社会問題なのだ」ということを、議会で理解をしてもらうのは、至難のわざでした。少数ながら女性の議員もいましたが、セクシュアルハラスメント防止施策推進に共感を寄せる人は少なく、むしろ、たかが「女の愚痴」とみなす男性議員に同調する女性のほうが多かったのです。

東京都議会で、セクシュアルハラスメント対策を議題に出すたびに、私自身がセクシュアルハラスメントを受ける対象になっていきました。具体例は省きますが、圧倒的に男性の数が多い議会の場で、男性が女性に対して行うある種の言動を反社会的行為だと主張した者への報復的意味合いを持ったものでした。

しかし、私の受けた嫌がらせは、私の手元に寄せられた膨大なセクシュアルハラスメントの事例に比べると些細なものでした。たとえば、大学教授から言い寄られて断ったとたんに職場を配転させられた非常勤職員、女性がたった一人の電気工事会社で日常的にわいせつな話を聞かされて我慢の限界を超えたので抗議したら即解雇された社員、仕事の打ち上げで飲み会に行って気分が悪くなったままホテルに連れ込まれ強姦されたあげく解雇された社員……。

■「たかが女」

こうしたことから、私は、セクシュアルハラスメントこそ、働く女性の誇りや自尊心を深く傷つける重大な人権侵害であり、女性から働く意欲を奪う労働権の侵害であると、確信を持って言えるようになりました。

セクシュアルハラスメントは、社会的に力の強い者が、弱い者に、「このくらいのことをしてもどうってことないはずだ」とたかをくくって行う行為であり、卑怯で野蛮で愚劣な行為です。セクシュアルハラスメントをする男性側(まれに女性の場合もある)には、「たかが女だろ」という意識が存在します。彼らにとって、女性は、ともに働く職場のパートナーというより、むしろ「女」なのです。彼らは、その「女」は男性より下にあり、男性の命令に従って当然だとみなします。

その職場に、男性の数が多ければ多いほど、女性が少なければ少ないほど、セクシュアルハラスメントの頻度は多くなり、悪質さの程度が増します。その「女」が、一般男性より優秀であり毅然とした態度で職務を遂行していればいるだけ、男性のみなす「女」とのかい離から、セクシュアルハラスメントはエスカレートします。夏井さんの事件に、あてはまります。

一方、被害にさらされた女性の側が、誇りと情熱をもって仕事にあたっていればいるだけ、その女性にとって、セクシュアルハラスメントは一層侮辱的・屈辱的であり、被害の深刻さが増すことは当然です。このこともまた、夏井さんに当てはまります。

判決によると、「原告(夏井さん)は、強い被害者意識のもとで、過度に防衛的なやり取りをし、必ずしも合理的とはいえない自らの言い分に固執し……」とありますが、夏井さんの受けた精神的ダメージを軽くみる誤った認定です。

■女性がたった一人

夏井さんのケースをあらためて見直してみます。

夏井さんは、インフォプリント・ソリューションズ・ジャパンの営業職でした。「営業マン」という言葉に象徴されるように、日本においては、営業は男の仕事だという思い込みがまだ存在します。実際、インフォプリント・ソリューションズ・ジャパンにおいても、第一営業本部に17人配属されていますが、全員男性です。夏井さんが配属されていた第二営業部の9人も、彼女を除いて全員男性です。その上にいる「営業統括本部」の部長も男性でした。つまり、夏井さんは、男性に交じって働く、たった一人の女性の営業職なのです。

これは、今回の事件を考える際、避けて通れない極めて重要なポイントです。その職場環境そのものが、セクシュアルハラスメントがきわめて起こりやすい環境だと断定できます。つまり、職場管理に責任を有する幹部は、このことを肝に銘じて部下に対する配慮をすべきだったのです。しかし、幹部の態度は、それとはまったく正反対でした。

■女性だけに課された過酷な研修

女性がたった一人という職場環境のもとで働くことになった夏井さんに、さらなる試練が待ち受けていました。それは、夏井さんだけ、長期研修の受講を命じられたことです。他の営業部社員は全員、短期コースでした。

しかも夏井さんだけが長期コースを命じられた理由は明らかにされることはありませんでした。実態として、女性の夏井さんだけが、きわめてハードな研修を受けなければならなかったのです。ハードな研修を受けつつ通常の業務をこなす夏井さんの疲れた姿が目に浮かびます。サポート体制は皆無だったため、毎晩残業続きとなります。約8ヵ月間、深夜3時ごろに職場からタクシーで帰宅し、翌朝も出社、という過酷な毎日が、夏井さんから報告されています。

女性営業職は夏井さん一人です。だからこそ、なぜ彼女だけが困難度の高い長期コース研修を課されるのか、納得のゆく説明を丁寧にする必要があったはずです。しかし、されていません。さらに、頑張り屋の夏井さんであっても時間がなくなるのはあきらかなのですから、通常業務の軽減またはサポート体制の付与があって当たり前です。男性社員だったら、一人だけ孤立させるようなことをさせるはずはなく、たとえあったとしても明快な理由をつけたはずですし、男性同士カバーしあうのが通常でしょう。「女」なんだから、四の五の言わず命令に従って当たり前とみなす意識が上司にあったから、こうした残酷ともいえる事態に陥らせたのです。この長期コース研修命令そのものが、セクシュアルハラスメントだったと私は考えます。もしもセクシュアルハラスメントが法的に的確でないとしたら、ジェンダーハラスメントであることは確実です。

そして、ある日、上司は、大勢の社員の前で、「研修と仕事と、どっちが大切だと思っているんだ! 仕事を優先しろ。研修なんてやらなくていい」と罵倒します。しかし、その一方で、当該上司は、年に一度、アメリカで行われる全世界社員向け研修には、夏井さんだけを排除するという措置をとりました。理由は「長期研修の卒業を優先させたほうがいいから」というものでした。

仕事がほんの少し遅れたら、「仕事を優先しろ、研修なんてやらなくていい」と言われ、社長以下営業社員全員参加のアメリカ研修の前には、「長期研修を優先させたほうがいい」から連れて行かないと言われたのです。夏井さんは、相矛盾する中に置かれてしまいます。どちらに転んでも逃げ場がない苦境に陥りました。こうして、夏井さんの孤立感はどんどん深まっていきます。

■性的な嫌がらせ、脅かしの言動の数々

以上、夏井さんをとりまいていた環境そのものが、セクシュアルハラスメント(またはジェンダーハラスメント)を生じさせやすく、そして実際セクシュアルハラスメントだった事実があることを述べました。

さらに次に、具体的言動から、いくつかセクシュアルハラスメントだと考えられる事実をあげます。

■宿泊つきゴルフ付き合いに女性一人強要

2007年10月12日、会議のあとの午後から翌日にかけて、1泊のゴルフ旅行に誘われます。夏井さんは辞退しました。しかし、それにも関わらず、上司は「チームのイベントだから行くように」と強要しました。夏井さんは結局、参加しました。会議参加者の名簿を見ると全員男性です。

夏井さんは「現地では、できる限り明るくふるまうよう努力した」と報告しています。とはいえ、女性がたった一人で、ゴルフ・宴会・宿泊に付き合わされることになった。こんな夏井さんが、「努力の限界を超えた我慢」を強いられたのは、火を見るより明らかです。
強調したいのは、たった一人の女性参加者の意向をくみとることをせず、会議の後に、「チームのイベントだから」と男性だけの慰安の場に参加強要をすることは、まぎれもないセクシュアルハラスメントだということです。

■「女の営業は何しているかわからない」

2008年7月1日、職場の他の部署の女性たちを交えた食事会でのできごとも疑問です。

夏井さんは、人事部の女性社員から、「夏井さんは、男癖が悪いと思う。女の営業は何しているかわからない。人事情報に載せよう」と誹謗中傷されます。この人事部・女性社員は、後日、夏井さんの解雇を総指揮した人事部長の部下だそうです。部長が直接採用した社員です。

彼女の「男癖が悪い」「女の営業は何しているかわからない」という表現は、おそらく夏井さんのいない場で人事部長に同調しながら交わされていた悪質なうわさではないかと考えられます。実際、その人事部長は、夏井さんを「私が夏井君を面接していたら絶対に採用しなかった」などと、面と向かって侮辱しています。

この人事部・女性社員は、その後もたびたび夏井さんに対して、以下のようなセクシュアルハラスメント発言を繰り返しています。東京都議時代、私に対する嫌がらせ行為をする男性議員に同調する女性議員がいた事を前述しました。この女性社員も、そうした一人で、セクシュアルハラスメントをする男性を許し、さらにセクシュアルハラスメントを助長させる役回りを果たします。人事情報に書くぞ、と脅している点が、きわめて悪質です。

「へー、出張でそんなことしているんだ。人事情報に書いちゃおう」

「一人で行かないわよね、女が」

「夏井さんって、こわーい。女の営業って、そういうことしないと仕事出来ないんだ。私にはできないわ。仕事をとるためとはいえ、何でもするのね。BPさん(販売代理店)とも、裏で何しているかわからないわね~。人事情報に書いちゃおう」

■「女性は肩とか、背中とか出して歩ける。あなたもそうしたらいい」

2008年7月30日、快晴の夏日、仕事で外を歩いているとき、第二営業本部の本部長は、スーツ姿の夏井さんに「女性はいいよね~。夏は肩とか、背中とか出して歩けるからね~。あなたも、そうしたらいいんじゃない?涼しいよう~」と言いました。夏井さんは、「背中に悪寒が走るのを覚えた。とても気分が悪くなり、不愉快な気持ちになった」と報告しています。女性一人という孤立感を抱かざるを得ない職場環境に置かれている夏井さんが、こういう強い拒否反応を起こすのは自然なことです。

しかし、この時、彼女は本部長と部長の2人の男性とともに歩いていましたが、本部長のセクシュアルハラスメントに対して抗議はしていません。上司のセクシュアルハラスメント発言を、夏井さんは我慢したのです。そうせざるをえなかった心理も理解するべきです。夏井さんが、「強い被害者意識のもとで、過度に防衛的なやり取り」をしてはいなかったことは、この我慢からも明らかです。

■「身体で仕事とってるのかと思ってた」

2008年9月22日、仕事後に、夏井さんは、「相談にのる」と言ってきた第一営業部・産業営業部部長から、次のようなセクシュアルハラスメント発言を受けました。

「夏井も一応女だから聞くけど、代理店との付き合いに身体を使っているんでしょ?」「夏井も身体で仕事とっているのかと思ってたよ。胸だけは大きいし」

「〇〇さんにも虐められているみたいだけど、身体で落としてみたら?」

■責められるべきは、ハラスメント当事者

こうした積み重ねが、夏井さんを身心ともに疲れさせ、勘違いともいえる小さなミス、情報秘匿されたことから生じたミスを引き起こし、ひいては通院に至らしめたのです。責められるべきは、セクシュアルハラスメントをくりかえした上司や同僚であり、それを放置していた会社幹部にあることは、余りにも明らかです。

それにも関わらず、判決は「労働契約関係を解消する以外に、方途を失っていると評価さぜるを得ない」となっています。つまり、会社側には、夏井さんを首にすること以外に方法はなかったと言っています。

これは、本末転倒です。夏井さんは、間違いなく、セクシャルハラスメントの犠牲者です。夏井さんは、身心ともに健康が回復されるまで、休暇を与えられ、そののち、セクシュアルハラスメントのない職場に復帰させられるべきなのです。
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by bekokuma321 | 2012-03-21 11:11 | その他