離婚家庭の子どものひとり旅

「パパに会うために、何千マイルもひとり旅」

今朝のNRK特集記事である。10歳の女の子が、パパとひしと抱き合っている写真つき。

離婚増はとまらず、「ハーグ条約」批准をめぐっての対応も待ったなしーーそんな日本の今後に役立ちそうだ。要約してみたい。

親の離婚・別居による子どものひとり旅の実態・対策を精力的な取材と調査によって、報道する。

c0166264_1535656.jpgサンナ・エイリン(10歳)は、6歳のときから、パパに会うために1人旅をしてきた。兄ホルボー(14歳)と姉インガー(16歳)も、他の誰よりも1人旅をよく知っている。インガーは7歳ごろまでは、ホルボーと一緒に車に乗って移動したが、7歳からひとり旅を始めたという。長い時間、車内ですごすのは退屈だけど、飛行機は快適だという。

ママとパパが別居を始めたのは9年前。インガーは小学校に入学したころで、サンナはわずか2歳だった。ホルバーとインガーは、パパと同居を決めた。パパはいう「それが、全員にとってもっとも便利だと考えて決めました」。ママは、サンナといっしょにママの新しい家族と一緒にAustlandetに住む。

サンナは何週間か、パパの家に住むときは、その土地の学校に通う。「私には、2つ学校があるのよ。とっても素敵」とサンナは言う。

しかしながら、現実は、みなサンナたちのようポジティブであるわけではない。

アフテンポステン紙の子どもたちからのページ「PÅ SKRÅSS」担当するジャーナリストのサイモン・F・デヴォールは、両親の間を行ったり来たりする子どもの中には、キツイと思っている子どもが多い、という。

「たくさんの子どもが、親の離婚を機に、親と親の間を行き来することについて書いてくる。子どもが一定の住居に住み、親のほうが旅行してくることを勧めたい。子どもたちは誠実です。ママとパパを傷つけないように仮面をかぶっている。でも、絶望状態の子どもから多数の手紙がくる。新生活が問題だとは思いませんが、問題なのは、大切に思っているすべてのことにひっきりなしにさよならを言わなければならないことです。これをうまくやってのける子もいますが、ダメな子もいるのです」

c0166264_15331051.jpgノルウェー統計局によると、4人に1人がひとり親と住む。その数、2011年では275500人。車による長時間旅行よりも飛行機が好まれ、SASだけで、毎年9万人の子どもがひとりで搭乗する。うち6万人は海外からノルウェー、ノルウェーから海外だ。ワイドルーには、昨年18000人の子どもがひとりで搭乗した。国鉄と長距離バスは統計をとっていないが、多数の子どもがひとりで乗車したと言う。

「私の人生は移動ばかり。決して落ち着くということはありません。ある期間、母親から離れて父のもとに行き、ある期間、父親から離れるのです」(14歳の子どもの声)

記事は、子どもたち(上記)、飛行機会社の子ども対策担当、子どもオンブッド、子どものひとり旅の研究者など・・・への取材に移る。それぞれが、どうしたら安全に、気持ちより移動できるかについて、大人たちへの具体的なアドバイスをする。

以上の背景に、ノルウェーの「子ども法」の規定がある。それには「両親が別居しても、子どもは両方の親に会う権利がある」と明記されている。16歳以下の子どもがいて離婚・別居する場合、どちらがどのくらいの頻度で子どもを訪問するかなど書面で取り決めないといけない。それなしには離婚・別居ができないのだ。(ノルウェーの「離婚と子どもの救済」については、明石書店『ノルウェーを変えた髭のノラ』p122~)

子どもの人権ナンバーワンと称される国だ。

■Har reist tusenvis av mil åleine mellom pappa og mamma
http://www.nrk.no/nyheter/distrikt/nrk_sogn_og_fjordane/1.8018475
■På Skråss
http://www.paskrass.no/OmPS.htm

写真左上:UM(付き添いなしの子ども)という規定用紙。5歳から11歳までのひとり旅に必須。それには、子どもの氏名・社会保障番号・搭乗時の親などの名・着陸時に迎えに来る親などの名を明記することになっている。

写真左下:ひとり親家庭の変遷。法律婚の家庭(濃い赤)が多かったが、事実婚の家庭(朱色)や最初からひとり親の家庭(水色)が増えている。
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by bekokuma321 | 2012-03-04 15:18 | ノルウェー