原発推進へ女性懐柔策

朝日新聞2012年1月22日記事『原発国家』を友人が郵送してくれた。『原発とメディア 容認の内実』連載の67回~70回と、ともに。どちらも見逃していた。

下記は、「女を恐れた原子力村」という大見出しの『原発国家』(高橋純子)の記事。1984年、原発反対は、女性48%、男性33%、原発賛成は、女性23%、男性47%だった。日本の反原発運動を支えていたのは女性たちだ。だから「懐柔策」をとった。

現在、同じ朝日の世論調査で、原発反対、女性65%、男性49%だ。
http://frihet.exblog.jp/17200209
 
さあ、どんな「懐柔策」がやってくるだろうか。

■ 朝日新聞 原発国家  女を恐れた原子力村 ■

女性“懐柔”策

女性が動くとき、「反」は「汎」になる。米国の水爆実験で第五福竜丸が被曝した1954年、主婦らがあげた 原水爆反対の声は瞬く間に広汎な支持を得て3千万超の署名を集めた。女性を懐柔するため、原発推進派が 打ち出したのが「家事負担の軽減」だった。

《家庭生活にも夢をはこぶ 原子力の平和利用》

原爆投下から11年後、56年8月6日付読売新聞はこんな見出しの記事を載せた。「(原発で)安い電気がふ んだんに使える。(略)朝目をさますと自動的に朝食の用意ができ上がっていることぐらいはそれこそ朝飯前、 主婦の仕事が軽減される家庭の自動化は、どこまで進むか想像もつかない」 

物理学者や小説家も「冷蔵庫や洗濯機がジャンジャン使える」などと発言。推進派だけではない。女性誌研 究家の加納実紀代によると、55年にスイスであった世界母親大会の準備会でキュリー夫人の教え子である 国際民主婦人連盟会長のコットン夫人は熱弁をふるった。「原子力の平和利用を発展させることを全力あげて 支持します。(略)とくに母親の毎日の仕事はとても楽になるはずです」

沈静化していた日本の反原発運動は、86年のチェルノブイリ原発事故で再び盛り上がる。朝日新聞の世論調査(以下・朝日世論)で原発について女性の「反対」が「賛成」を上回ったのは84年。86年には反対48%、 賛成23%と差が開いた。男性は賛成47%、反対33%だった。

(略。全文はMoreをクリック)







「女は暇になっとるわけなんだ」。科技庁原子力局長や原子力委員を務めた島村武久は当時、自らの研究 会で嘆いた。「理論的に話してもわからないし。純情そのもので、『子どもを守ろう』と言うようなことだけですか
ら、かえって怖い」

政府は89年度予算で科技庁の広報費を10倍、通産省を5倍の総額30億円に急増させ、「原子力は環境にやさしい」とPRした。電気事業連合会の広報部長は当時、朝日新聞の取材に「地球環境に対する関心の高まりは格好の材料。原子力は地球を温暖化する二酸化炭素(CO2)を出しませんから」と語っている。

宣伝は次第に浸透し、07年の朝日世論で温暖化対策の柱に原発を据える是非を聞くと、女性の40%が「妥当」とし、「妥当ではない」(35%)を上回った。

原発推進に理解のある女性も登用した。首相の橋本龍太郎は98年、元キャスターの木元教子を「女性の視 点はやっぱり違う」と口説き、女性初の原子力委員に起用。科技庁長官の谷垣禎一は、「暴れ馬になって」と 激励した。木元はキャスター時代に原発に懐疑的な発言もしていたが、勉強を重ねるうちに「資源のない日本 には自己完結型の原子力エネルギーが必要だと考えが変わった」という。

国の総合資源エネルギー調査会の原子力部会委員には作家の神津アンナや元アナウンサーの木場弘子 が名を連ね、中部電力は経済評論家の勝間和代を原発CMに使った。

広く女性を取り込むためにの催しも枚挙にいとまがない。料理教室と原子力の勉強会を兼ねた女子大生対 象の「クックエネの会」。原子力業界で働く女性がCO2削減について答える女性向けのセミナー。有名俳優を招いてのトークパーティー……。電力会社から業界団体まで主催者は様々だ。

政権交代後の10年には事業仕分けで女性誌の原発広告が俎上にのり、経産省の担当者は「原子力に関心が低い女性に理解を深めてもらう」と主張した。

首相官邸、保安院、東京電力……。原発事故をめぐり「表舞台」に登場したのは男性ばかりだった。

「原子力村」は以前から「女性の『正しい理解』が得られているとは言い難い」(日本原子力産業協会)と言ってきた。女性は非科学的で情緒的―という発想が根底にある。

「何が正しいか」を決めてきた彼らの権威は原発事故で失墜した。「ただちに影響はありません」という説明はそれこそ非科学的だった。権威が指し示すものに従うことなく、自分自身で原発について考える動きが今、 男女問わず広がる。


あなたは、原子力発電を利用することに賛成ですか反対ですか―。(数字は%、11年朝日世論から)

 男性
 04月 賛成62 反対27
 12月 賛成43 反対49

 女性
 04月 賛成38 反対37
 12月 賛成17 反対65
 
 =肩書は当時。敬称略
(高橋純子)
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by bekokuma321 | 2012-02-19 12:43 | 紛争・大災害