保育園か現金給付か

ノルウェーの子ども・平等・社会相アウドゥン・リースバッケンは、「来年の8月から、2歳になったら現金給付をやめる。しかし1歳までの給付額をあげる」と発表した。

「反論があることはわかっているが、社会のためにいいことをする。平等とソーシャル・インクルージョンのためには『現金給付』は妨げになる」と、明快な姿勢を打ち出した。なお、ソーシャル・インクルージョンとは、社会に溶け込むことを指し、排外主義の反対語。

c0166264_121036100.jpgノルウェーでは、希望する子どもは、ほぼ全員保育園に入園可能だ。現に、子どもの87%が保育園に通う(明石書店『ノルウェーを変えた髭のノラ』p104)。この充実した保育制度が、女性に「子どもも仕事も」を可能にした。

子どもに対する国の別のサービスとして、保育園に入れない子どもがいる家庭には、3歳まで「現金給付」という制度がある。大臣が一部廃止しようというのは、この「現金給付」だ。

「現金給付」は、成立当初から賛否両論激しかった制度だ。導入時、中道左派政党の多くはこの「現金給付」に反対だった。「現金給付」を受ける家庭の多くは移民家庭だが、そういう家庭の子どもこそ、保育園にはいっていっしょに社会性を学んだほうがいいし、母親も外で働いたほうがいいという論理だ。

それに対して、保守中道政党は、「3歳ぐらいまで家庭で育ててもいいではないか、その選択の幅を広げることになる」と主張する。

ここにきて、政府の改正案に対して地方から反論が起きている。今秋の地方選で保守党が握った市が、「国が現金給付をやめるなら、地方独自に制度を残す」というのだ。

こうした声に、今度は、平等・反差別オンブッドが動いた。12月21日、彼女は、「地方で現金給付をという声があがったが、男女平等を徹底してからにしてほしい」と、男女平等の遅れを指摘した。

男女平等国の政策論争の主役は、“女・子ども”だ。なるほど、これなら、出生率1.9になるはずである。


■Kan hindre god likestilling
http://www.nrk.no/nyheter/distrikt/sorlandet/1.7923621
■Fjerner kontantstøtte for 2-åringer
http://www.nrk.no/nyheter/innenriks/valg/valg2011/1.7777180
■Persons in the labour force and employed persons
http://www.ssb.no/aku_en/tab-2011-11-02-05-en.html
■ノルウェー日刊紙が日本の女性を特集
http://frihet.exblog.jp/17172352/

[写真:70年代のノルウェー女性解放ポスター「闘おう でも一人じゃだめ!」。当時のノルウェーは保育園が少なく保育は女性の肩にかかっていた。ノルウェー国立博物館所蔵パネル接写]
[PR]
by bekokuma321 | 2011-12-22 02:52 | ノルウェー