ノルウェー地方選:名簿変更権を使おう

ノルウェーは地方議会選挙も比例代表制選挙だ。政党が決めた候補者リスト(これがそのまま投票用紙に)の中から、投票する人が支持する1枚を選んで投票箱に入れる。

政党が獲得した投票率にしたがって、政党リストの上に乗った候補者から順番に当選する。しかし、ノルウェーでは、投票する人におもしろい権利がある。
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【20歳のマリアは、今年、地方選挙を初体験。投票所で、選挙担当スタッフに丁寧に教えてもらってから投票ブースに向かった】

有権者は、政党の決めたリストの順番を変えることができるのだ。たとえば1番目の候補よりも2番目の候補を強く支持する場合、2番目の候補の左側にある小さな空白に、バツ印(×)をつける。こうして、2番目の候補が1番目よりも多くとった場合、2番目が1番となる。

今回、候補リストの13番目という低い地位だったが、ドーンと個人票を増やし当選した女性がいた。フィンマルク県のカウトケイノ市だった。

さらに、もうひとつ。A党を支持していても、B党の○○候補には当選してもらいたいことがある。その場合、A党のリストの右ページに設けられた空欄に、B党の○○候補の名前を書くことができる。5人まで可能だ。とはいえ、B党の○○候補に1票増えることによって、その代わりA党の票が1票減ってしまう。

政府は、全体の約4割の女性議員を5割まで増やそうと、この“変更権”を有効に使うよう、国民に呼びかけた。今年にはいってから、政府は、全国の自治体にこのための冊子を配布し、ホームページでも宣伝した。

女性団体も、「女性の候補にバツ印をつけて順番をあげましょう」「空欄には女性候補の名を書きましょう」とキャンペーンを繰り広げる。このキャンペーンは1960年代から行われてきた。

選挙に詳しい知人は言う。「運動をしないと、女性議員は増えません。以前は、支持しない候補名を横線で消す方法でした。そのころ、上位に男性候補が多かったうえ、女性候補が消される傾向があったのです」

こうして議会に女性が増えてきた。今年の選挙は、移民ノルウェー人をどれだけ増やせるか、女性市長をどれだけ増やせるかに焦点が移った。

ノルウェー社会の平等は、政治を平等にしようという強い意思と不断の努力の上にある、と私は思う。

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地方議会の投票用紙。オーモット市中央党のリスト。左はじにある四角い箱にバツ印がついている候補者に票が加算される


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支持政党リストを1枚投じる、これがノルウェー式投票。その支持政党以外の候補者を当選させたい場合、自分の選んだ支持政党リストにその他党候補者名を書く。そのための空欄。2人の名前が書かれている


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政府が出版した地方選挙向けパンフ。女性を増やす具体策としてバツ印をつける方法を紹介。右上イラストに注目。女性候補に印をつけて男性を落そうーーを示唆する。

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女性議員の伸び。赤は国会。青が地方議会 http://www.ssb.no/valg_en/

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女性議員の伸び。青が市。赤が県。2011年は集計中。一方、日本の女性議員は現在10%程度。これは、ノルウェーの60年代の議会にあたる。http://www.ssb.no/english/subjects/00/01/20/kommvalg_en/fig-2008-01-04-02-en.gif
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by bekokuma321 | 2011-09-25 16:05 | ノルウェー