美と温もりを愛でし時まで

c0166264_3203696.jpg2011年7月、ノルウェーのテロの犠牲者を悼む、オスロ市庁舎広場での「バラの花のデモ」で、さらに、オスロ教会のミサで、全員が合唱した歌があった。

1カ月後の8月21日、オスロ・スペクトラムでの国主催「追悼会」の最後に、その同じ歌を、歌手シセルは、7000人を前に歌いあげた。

歌の名は、「若者たちへ」。

77人の死者――多くは10代――を弔い、遺族を慰め励ます特別な歌だろうと思った。歌詞を訳してみた。訳しながら、今、世界が最も必要としている精神がこめられているような気がした。

 
♪♪ 若者たちへ ♪♪

敵に囲まれ、
嵐をついて、
進みゆく

 恐れおののき自問する
 丸腰のまま、邪気もなく
 なぜ闘うのか?
 武器はどこ?

われらの刃は、命と尊厳
これこそ盾なり剣なり
これこそ敵への備えなり
 
 万人のため追い求め
 よりたくましく、より広く
 命をかけて耕そう

されば武器などあえなくも
地の底に向け沈みゆく
人の尊厳守りしとき
われらに平和が訪れる

 金で買えない愛おしいものを
 正義の腕に持つ者は
 決して人を殺さない

約束しよう、人びとに
われらが地球を尊ぶことを
赤子を腕に抱くように
美と温もりを愛でし時まで

(作詞ノーラール・グリーグ、作曲オットー・モーテンセン、三井マリ子和訳)


「若者たちへ」の作詞ノーラール・グリーグは、作家、詩人、ジャーナリスト、政治活動家。1902 年生まれ。スターリン主義者で「親ソ連盟」会長。1927年新聞特派員として中国内戦をルポ。ナチスドイツ支配下ではイギリスに亡命し、ラジオ放送で革命魂を鼓舞。ノルウェー軍所属戦争特派員。反ナチズム、親共産主義者。1943年、ベルリンで襲撃されて死亡。41歳だった。戦後、反ナチのレジスタンスの偶像となった。

「若者たちへ」は、1936年、ノルウェー学生連盟(オスロ大学学生会館にある)の依頼を受けて作った。その年、スペイン戦争でも学生たちに歌われた。ノルウェーだけでなくデンマークでも、さまざまな歌手に歌われレコーディングされている。

作曲したオットー・モーテンセンOtto Mortensenは、デンマーク・オーフス大学所属の作曲家・指揮者。


■Sissel Kyrkjebø "Til ungdommen"(シセルの歌う「若者たちへ」が聴ける)
http://www.nrk.no/nett-tv/indeks/274591/
■Nasjonal minneseremoni
http://www.nrk.no/nett-tv/indeks/274571/
■Til ungdommen, Herborg Kråkevik, Rådhusplassen Oslo, 25.07.2011 http://www.youtube.com/watch?v=CEiyrO-5yt4&feature=related
■若者たちへhttp://frihet.exblog.jp/16760685/
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by bekokuma321 | 2011-08-26 03:12 | ノルウェー