悲劇を乗り越えるために現場視察

8月19日、20日、ノルウェーの殺戮事件で死をまぬがれた人々、犠牲者の家族や関係者がウトヤ島を訪れた。悲劇から1カ月たち、現場にあの事件に巻き込まれた人たちを連れていくことが、今後の前進に必要だと考えた政府の決断だった。

c0166264_1042156.jpg報道によると、保健・ケアサービス省アンネ・グレーテ・ストロム=エーリクセン大臣(写真)は、「心身の回復のためケアを続けることはわれわれの仕事です。島の再訪はつらいことです。しかし、彼・彼女たちは行きたいと希望していました。今日は重要な日になる、と思っています。」

生存者や遺族の回復をオーガナイズしている精神科医は、「遺族にとって現場に行くことはさまざまなことから重要です。現場の詳細を見ることによって現実に近づくからです。現実を見ることは、空想よりも恐ろしくない。空想は心の内部から壊してゆきます」

「ウトヤ島、ここが悲劇のあった島、とこれからも思い出すでしょう。でも、今日はすばらしい日でした。私たちは、一歩前に進もうと語りあいました。命を取り戻したのだ、もう一度生きようと。もう一度眠れるようになるかもしれません。ここに戻ってきたことを後悔することはないと思います」(ヨーリ・ホスタ・ノールミーラン、20歳女性)

「あのとき、肩に何かパチンとあたったような感じがしました。海から飛んできた魚があたったのかと思いました。でも、しだいに冷たくなり、気分が悪くなり、痛み出しました。ここを再訪して、これまで思い出せなかった細かいことを思い出しました。この島に来て、まず座りこみ、長いこと泣きました」(アドリアン・プラコン、肩に銃撃されたが助かった男性)

77人の死者を出したノルウェーの悲劇。ただちにノルウェー全自治体に、「苦悩や悲しみを話したい市民のための」電話番号が設置された。支援窓口も設置されている。ノルウェー政府は、まず生存者、犠牲者の遺族・友人の心身のケアに政策の重点を置いた。事件解明は、警察と新設された特別委員会(女性委員が過半数)で続行されている。

一方、戦後最大の2万人以上の死者(含む行方不明者)を出した東北大震災。日本政府の支援体制の遅れには怒りのことばもない。被害の甚大さはスケールが違うとはいえ、政治の決断でできることは無尽蔵にあった。いや、しなくてはならなかったはずだ。人命と健康を最優先に考えたら、原発被害事実を隠滅・矮小化はできなかったはずだ。

怒りをもって思い出されるのは、復興担当相に就任した松本龍衆議院議員。「県でコンセンサスをえろよ、そうしないと我々、何もしないぞ」「ちゃんとやれ」「お客さんが来るときは、自分が入ってから呼べ」などと、恫喝に近い表現で被災県に叱責を飛ばした(http://frihet.exblog.jp/16567309/

国家的悲劇にどう政府がぶつかってゆくか。日ごろの両国の政治姿勢が現れている。

■Jeg husker jeg tenkte «Denne øya har jeg sett for siste gang i mitt liv»
http://www.nrk.no/nyheter/norge/1.7757689
■Her ligger han midt mellom sine døde kamerater
http://www.nrk.no/nyheter/norge/1.7757738
■'They wanted to do this' - Norway bereaved visit Utoeya island
http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-14591013
■アルネ・ウォルター駐日大使「悲劇と悲しみの年に」http://www.norway.or.jp/Embassy/ambassador/ambassadors_note/august2011/

東北大震災の現地視察ルポは以下10本:

■福島県いわき市の三重苦
http://frihet.exblog.jp/16430913/
■郡山市ビッグパレットの女性たち
http://frihet.exblog.jp/16420384/
■福島県議会で耐震安全性を追求してきた女たち
http://frihet.exblog.jp/16419975/
■福島原発と闘う3人の女性県議
http://frihet.exblog.jp/16410158/
■チーム・ウルフ:女たちの支援
http://frihet.exblog.jp/16409896/
■魚がない魚の町
http://frihet.exblog.jp/16431227/
■宮城県石巻市へ
http://frihet.exblog.jp/16409638/
■宮城の女性が語る被災体験 2
http://frihet.exblog.jp/16402969/
■宮城の女性が語る被災体験 1
http://frihet.exblog.jp/16401603/
■宮城県で女性の被害状況を聞く
http://frihet.exblog.jp/16391652/
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by bekokuma321 | 2011-08-21 10:26 | ノルウェー