放射能地獄

木村幸雄さんからいただいた、原爆詩人・栗原貞子さんの詩です。1988年4月の作品ということです。


   放射能地獄

幼かったころ
うすぐらい土蔵のなかで見た
地獄、極楽の絵草紙

飢餓地獄では
飢えた亡者が喰べ物に焦れると
炊きたての白い御飯や
魚や肉、果物やお菓子が
次々あらわれるけど
手をのばせば
瞬間、炎をあげて燃え
亡者の飢餓感はつのるばかりだ

この世の飽食地獄では
金さえ出せば何でも手に入るが
輸入チョコレートやクッキー、ナッツに
チーズ、肉やマカロニー、
スパゲッティなど体のなかで
見えない炎をあげて燃え
臓腑や生殖腺を犯し
ゆっくり放射能地獄へ向かわせる

この世のいつわりの豊かさのなかで
金に買われた男たちは
原発の炉のなかで
見えない炎を全身に浴び
二度と這いあがれない
放射能地獄へ陥ちていく

幼かったころ
うすぐらがりのなかで見た
地獄・極楽の絵草紙
終末の世に見えない炎をあげて
燃える放射能地獄を
予言しているのだ。


木村幸雄さんは、言います。「広島原爆は、手でもてるほどの800gのウランが燃え、100万kW級の核発電所は年間約1tのウランが燃やされる。このことを念頭に、お読みください。」。そして木村さんは、「原子力発電所」ではなく、「核発電所」と呼ぶことを提案しています。
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by bekokuma321 | 2011-08-06 09:29 | 紛争・大災害