女性ゼロ議会の直方市訪問

8月1日(月)、全国フェミニスト議員連盟は、女性議員が一人もいない九州の直方市を訪ねた。女性の政策決定への女性参画を訴えるためだ。

夕べ、花火大会で大賑わいだったという川沿いを右に見ながら、車で市役所にむかった。(以下、敬称略)

「人口6万人の市ですので、女性議員が2人ぐらいはいていいはずなのです」と、毛利良幸総合政策部長(男性)は言った。続けて「昭和30年から野副(のぞえ)マスクリさんという女性議員が長年議会にいました。一時は女性議員2人時代もありました。今年は市制80周年でもあり、何でだ、という気持です。残念でならないのです」と表情を曇らせた。隣に座る小林康雄市民協働課長兼働く婦人の家館長(男性)も、強くうなづいた。

直方市は、男女共同参画推進条例もつくった。男女共同参画推進計画もつくった。その重点目標は政策決定への女性参画だ。それにも関わらず、この4月の統一地方選で女性議員ゼロの自治体になってしまった。しかも女性の立候補者はたった1人だった。

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部長は、「夢ネットという女性団体があります。そこがなんでたった一人の女性議員を落としてしまったのだろう…と悔しいのです」と、また嘆いた。全国フェミニスト議員連盟は、「女性ゼロ議会をなくし、女性議員増を」求めるアピールを市に提出し、ともに努力することを誓った(市に手渡した連盟のアピールは末尾左のMoreに)。

そのたった一人の女性候補者の竹松房子と、女性団体「夢ネット」の会員に会った。竹松は農家だ。地産地消を願って「農家の食卓」というお店を経営し、幼稚園やディサービスに昼食を宅配する。

竹松は、農家の“嫁”として、息苦しさを体で感じてきた。農家の嫁の立場をよく知る者が政治の場で声を上げることが必要だと思ってきた。男女共同参画推進条例づくりにかかわり「女性ゼロ議会」はおかしいと思った。しかし誰も手を挙げる人がいなかった。2003年、立候補を決意して、初当選した。紅一点だった。身を粉にして働き、2期目は票を上積みして再選。しかし、3期目に挑戦した今年100票足りなかった。

竹松房子惜敗の主因は、「同じ地域に37歳の新人男性が立候補し、票をさらってしまった」ことではないかと周囲は考える。それにしてもたった1人の現職女性議員が排除された、その根底には、「女性が政治になんて」という古い体質があるからだ、と口々にいう。

たとえば、「あそこの嫁は何しとるとよ」というような監視の目がまだ強い。80年代頃までは「年子で産んでみっともない。ひとりおろしなさい」とささやかれた。農業委員は本来選挙だが、定数だけ候補を決めてしまうのでほとんど選挙にならない。農家の"嫁"の経済力を高める「家族経営協定」も浸透していない。100自治会のうち、女性の会長はわずか3人だけだ。「夫はとても理解あるほうです。それでも『昔からの嫁はそうじゃ』という長年の慣習や伝統の力にはかなわないところがあります」と竹松自身、語った。

さらに、この春の選挙では、竹松や後援会長は、根も葉もない嘘の噂にも苦しめられた。「いいね、3期当選したら年金もらえるらしいね」「年金もらうために、出るってね」……。候補者を落とすための、いわゆる“ネガティブキャンペーン”だ。

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しかし、そんな逆境をはねのける動きが直方市に出てきた。

「議会に女性を送る会」という愛媛県の女性団体にならって「議会に女性たちを送る会」というような会を立ち上げ、女性を当選させることに勢力を注ぐ組織をつくるという。竹松の尽力で、農業委員19名中、2名は女性枠にするなどの試みも動き出した。行政も、「人材バンク」への女性登録者を増やし、審議会など政策決定につながる場に推薦できる女性をどんどん増やすという。


参考
http://www.city.nogata.fukuoka.jp/index.html
http://www.afer.jp/
http://jyoseitoseiji.jugem.jp/

写真上:直方市担当部長に「女性議員を増やそう」アピールを手渡す全国フェミニスト議員連盟ゼロ撲キャンペーンの西武節子。直方市役所にて。
写真下:市の現状と今後について熱をこめて話す前議員の竹松房子(左)。直方市働く婦人の家にて。

(市や女性団体との面談には三原ゆかり係長にたいへんお世話になった。総合政策部市民協同カ男女共同参画推進係)




8月1日、直方市に手渡ししたアピール。

■■■ アピール ■■■

福岡県そして全国の「女性ゼロ議会」をなくし女性議員を増やそう

2011年7月31日

私たちは、女性議員を増やして平和と平等に満ちた民主主義社会をめざそうと、北九州市に集まった超党派の市民や議員です。

全国フェミニスト議員連盟は、1992年からクオータ制を掲げ、政策決定の場の男女平等を目指して活動してきました。このクオータ制は、今回、基調講演をした福島みずほ議員が男女共同参画大臣だったときの「基本計画」に掲げられました。それを受けて、今年6月の「男女共同参画白書」に真っ先に取り上げられました。クオータ制は、やっと日本政府に認知されたのです。

しかし世界の多くの国々は、女性の政治参画を確実にするため、クオータ制などの具体策をかねてから実行しています。本年6月30日付け列国議会同盟IPUの187カ国調査によると、女性国会議員(下院)50%を超えた国は2カ国となりました。世界平均は19.5%であり、20%はもう目前です。OECD30ヶ国の平均は26%に達しています。

日本はどうでしょう。日本の女性国会議員の割合は11.3%です。世界平均にはるかに及ばず、187カ国中126位というありさまです。

目を地方議会に移すと、政策決定への女性の少なさはさらに目立ちます。政府が決めた「社会のあらゆる分野で、2020年までに指導的位置に女性が占める割合が少なくとも30%程度」とする「2020年30%」に向けて、女性議員を早急に増やさなければなりません。しかし、開催地となったここ福岡県だけ見ても、女性議員は全議員の11.9%です。直方市をはじめ女性ゼロ議会(女性議員が誰もいない議会のこと)は11市町村、60自治体のうち18.3%です。女性議員が1人しかいない議会を入れると、41.7%にものぼります。

こうした絶望的な現状は、行政や政党が実行策を講じてこなかったことに一因があります。このままでは、日本が直面している災害復興、超少子・高齢社会、環境保護、経済活性化など、あらゆる重要課題の解決が遠のくことは必至です。

「女性ゼロ議会」のまちの行政・議会・政党組織は、まず、この事実を広く知らせるべきです。この悲惨な事実を市民が知らなければ、「2020年までの女性議員30%」の達成はおろか、「女性ゼロ議会」をなくすことすらできません。

私たちは、「2011年全国フェミニスト議員連盟夏合宿in北九州」の合宿で、「女性ゼロ議会」をなくし、そして女性議員を少なくとも30%を目指そうという決意を強く固めました。それに向かって、それぞれの地で官民共闘してとりくむことをここに宣言します。

「2011年全国フェミニスト議員連盟夏合宿in北九州」参加者一同
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by bekokuma321 | 2011-08-02 12:10 | その他