2011年 07月 27日
テロ容疑者のターゲットはブルントラント元首相か
犠牲者のほとんどは、ウタヤ島で行われていた労働党青年部の夏合宿に参加していた。7月19日から24日まで、5泊6日の予定だった。22日(金)は、午前11時から12時40分まで、ブルントラント首相のスピーチがあった。元首相は、事件の起きた2時間前に島を去った(ノルウェー労働党青年部の夏合宿 参照)。
ブライヴィックは、自分の行為を、文化的マルクス主義化とイスラム化をせん滅させて、新しいヨーロッパを作ることが目的だと言っている。
「文化的マルキストとは、社会主義者、共有財産主義者、フェミニスト、同性愛者、障がい者運動家、動物愛護運動家、環境保護運動家といった、多文化主義を支持する人たちを言う」だそうだ(ネットで公開された彼の著『2083 ヨーロッパ独立宣言』)。
労働党を中心とした中道左派政権(閣僚の半分は女性)は、男女平等主義、多文化主義を唱える。その礎を築いたのは、1980年代にノルウェー初の女性首相となったブルントラントだ。首相を退いた後はWHO事務局長に就任した。労働党の″母″、いや″ノルウェーの母″であり、フェミニズムのシンボルだ。そんなブルントラント元首相は、目的達成のターゲットに十分だったと言える。
同じく25日、国会に議員を出している主要7政党の事務局長は、地方議会選の選挙運動を、8月15日まで自粛することに合意した。加えて、スクール・エレクションの選挙運動も、これまでのやり方は中止すると決めた。
ノルウェーでは、中高の生徒会主催のスクールエレクションが、各学校で本番さながらに繰り広げられる。選挙運動や投票もある。本番の投票日の1週間前に投票がある。結果は、メディアで大々的に報道される。
国会も地方議会も、投票日は、9月第1または第2月曜日。今年は地方選挙の年。全政党の立候補者はすでに公開されている。通常、夏休み明けの8月1日から選挙運動が本格始動する。ウタヤ島での青年部夏合宿には、各地方議会選挙に立候補した若者が大勢、参加したと考えられる。(注:青年部というと男性が中心に思えるが、男女半々に近い)
■Gro Harlem Brundtland: - Forandrer ingenting at jeg var et mål
http://www.vg.no/nyheter/innenriks/oslobomben/artikkel.php?artid=10080801
■Valgkampen utsatt
http://www.dagbladet.no/2011/07/25/nyheter/politikk/valgkamp_2011/skolevalg/terror/17449239/
■Norway attacks: Utoeya, Labour Party's summer camp http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-14292908
■ノルウェーのスクールエレクションについて
『ノルウェーを変えた髭のノラ』(明石書店)p215-p223
■ブルントラント首相について:
『ノルウェーを変えた髭のノラ』(明石書店)p22-p26