魔女モニュメント、オープン

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▲6月23日(木)、フィンマルク県ヴァルドゥー市で、「魔女モニュメント」がオープンした。写真は4月前の2月に訪問したもの。

魔女の烙印を押されて焼き殺された無実の女性たちを記録にとどめるために作られた。ソニア王妃、制作者、研究者などが招待された。

ヴァルドゥー市は、北緯70度、東経31度。北極点に近い。冬は何か月も太陽のない極夜の地だ。

17世紀、この地で、罪のない女性たちが、魔女だという噂をたてられ、逮捕、監禁された。拷問によって自白を強要させられた女性たち、死刑を言い渡され火あぶりにさせられた女性たち。記録によると、約140人が裁判にかけられ、90人以上が焼き殺されたという。わずか12歳の少女もいた。

魔女狩りはヨーロッパを席巻していた。しかし、ヴァルドゥー市にモニュメント設置が決まったのは、理由がある。ノルウェー人口の0.8%しか住んでなかった過疎の地フィンマルクで、全ての魔女火あぶりの3分の1が行われた。しかも、火あぶりのほとんが、ヴァルドゥー市の城塞跡から500メートルばかり離れた地で行われた。

ノルウェー運輸省、ノルウェー道路公団、フィンマルク県、ヴァルドゥー市などによる巨大プロジェクトが組まれ、何年間にわたって進められてきた。過酷な天候の影響で制作は大幅に遅れた。当初は昨年夏にオープンしていた。予算は膨れ、7000万クローネ、約11億円にのぼるとされる。

背景には、ノルウェーの魔女裁判の記録がほぼ完全な形で残されていたことがある。その結果、23日オープンしたモニュメントには、焼き殺された女性たちの墓標をつくることができた。氏名、どこに住んでいたか、どのように自白したかなどが、刻まれている。

報道によると、読みにくい昔の裁判記録が、学者の手で解読され、デジタル化されて、だれもがアクセスしやすくされた。世界で初めてだという。

もちろん、ノルウェーの国家政策である極北地方の経済発展と、女性政策の振興が土台にあるだろう。ヨーロッパの暗黒史である魔女狩りについては、不明なことが多い。今後の研究に大いに役立つに違いない。観光客を呼びこみたいとする市の意図を超える大きな意義があることを願う。

http://www.nrk.no/nyheter/distrikt/troms_og_finnmark/1.7686021
http://www.forskning.no/artikler/2009/mars/215213
http://www.forskning.no/artikler/2011/juni/292002

【写真 2011年2月末、ヴァルドゥー市城塞跡の付近から見た「魔女モニュメント」。未完成だった。市役所の職員は「夏にまた来てください」と軽く言った。立っていられないほどの烈風。カメラを取り出すのも難しかった。手袋をするとシャッターが押せないので、素手で撮影したが、かじかんで大変だった】
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by bekokuma321 | 2011-06-25 19:43 | ノルウェー