女性記者の質問に答えない東電

福島一原発は、1971年3月26日に営業運転を開始した。3月26日は40周年を迎える記念すべき日だった。

東京都千代田区内幸町の東京電力本店で記者会見があった。そこで女性記者が2つ質問をした。

①電源が失われた場合を想定しなかったのはなぜか  
②現状で最悪の場合をどう想定しているか。

それに東電は答えなかった。それを別の男性記者がフォローした。何度も同じことが繰り返された。Asahi Judiciaryから最も印象的な箇所を引用する

■最後に、しんぶん赤旗の女性記者が質問する。質問は二つに分かれている。
「津波に関しては想定外であったと繰り返し述べておられますが、電源がすべて失われた場合にどうするのかというのが国会で質問されています。それを想定しなかったのはなぜなのか?ということが一つ」
 
「現状、最悪の場合をどのように想定されて、どのような対策を講じていらっしゃるのか、そのあたりのことをお聞きしたいんですが」
 
これに対して、武藤副社長は、津波に関するこれまでの答弁を繰り返す。

「津波につきましては当然、設計のときに考慮しております。福島第一原子力発電所は昭和40年代の設計なわけですが、その時点で、それまで経験した災害の潮位を考慮して設計しております。さらにその後、津波の解析技術の進展がいろいろあったわけでして、そういうものが学会で知見としてとりまとめられて、その評価のやり方が公表されておりますので、それに基づいて、我々は最新の知見を踏まえて安全性について評価してきたと思っております」

広報部の吉田部長がここで「最後の質問」と別の記者を指名しようとすると、赤旗の記者が口を差しはさむ。

「私が聞いたのは『津波が想定外だったかどうか』ではなくて、電源が失われる可能性について想定しなかったのはなぜなのか?ということをお聞きしたんですが」

武藤副社長がそれに応えてマイクを握る。
 
「今回の津波で、所内の電源は地震でもってなくなったわけですが、そのときに、ディーゼル発電機はしっかり起動しているわけです。したがいまして、地震によっては電源はなくなっていないわけです。が、そのあとの津波が発電所を襲ったところで発電所の電源を喪失しているということで、津波が今回の電源をなくした原因だというふうに言えようかと思います」

広報部の吉田部長が「あと、おひとかた」と言うと、別の男性記者が声を上げる。

「二つ目の質問に答えてない。こういうやり方で議事を進めるのなら、ちゃんと質問に答えてください。二つ目の質問に答えてない。最悪の事態にどう対処するのかという2つ目の質問に答えていない」

[つづきはMoreを]



武藤副社長が再びマイクを握る。
 
「電源につきましては、地震の後、確保できていたというふうに思っております。津波によって電源を失ったということだと思います」

しんぶん赤旗の女性記者が「電源を失った場合を想定しなかったのはなぜなのかと聞いているんです」と食い下がる。

ひと呼吸を置いて、武藤副社長が話し始める。

「電源をなくなった場合でも原子炉を冷やすことができるように設計はされています。ただ、これは一定の時間、バッテリーを使いながら、原子炉の中の蒸気をもって原子炉を冷やすというのが基本的な考え方でありまして、その時間を超えて電源が復旧できないような状況になるというのは、今回の津波がすべての電源設備を利用できないような状況にしたということがあるわけでありまして。ですから津波によって電源が喪失した、というふうに申し上げました」

広報部の吉田部長が「申し訳ありませんが、あと、おひとかたのみ、というようなことでお願いします」と会場に呼びかけると、しんぶん赤旗の記者が「まだ答えてないでしょう、最悪の場合」と声を上げる。吉田部長がそれを無視して「申し訳ありませんが、あと、おひとかた」と言いかけると、別の男性記者が声を上げる。

「答えてないじゃないですか、ちゃんと答えてください。私も聞きたいです。その回答を」。さらに別の男性記者が声を上げる。「最悪の場合というのはどういうことを想定されているのか」

8秒の間を置いて、武藤副社長が「外部の電源がなくなった場合に」と話し始めると、記者たちが「電源の話じゃない」と声を上げる。間があって、武藤副社長が再び話し始める。「電源が確保されているということを前提にして、その電源が一時的にまったくなくなった状態で原子炉を冷やすということを想定して、原子炉は設計されているということです」

しんぶん赤旗の記者が「いま今、最悪の場合をどういうふうに想定されているのかというのが私の2番目の質問です」と繰り返す。

武藤副社長は「ですから、電源がない状態で原子炉の中に注水をするためにどういった手立てを考えておくのかということをアクシデントマネジメントとして手順を定めて準備をしてきたということでありまして、今回も電源がない中で、まずは自分のとこで持っている蒸気でもって原子炉を冷やし、それが利用できなくなったところで外部からポンプをつないで原子炉の中に注水するということをやったということでございまして、これもアクシデントマネジメントの手順に従って、我々、手順を実施したということだと思っています」と言う。

男性記者から「日本語を分かってない」という声が上がる。しんぶん赤旗の記者の一つ目の質問は確かに、電源の喪失を事前に想定しなかったことの是非を尋ねるものだったが、二つ目の質問は、電源の話ではなく、現時点における「最悪の場合」の想定を尋ねるものだった。会場の記者たちはそれを理解しているが、武藤副社長はそれを理解していないように見える。

しんぶん赤旗の記者が「最悪の状況をどのように想定いらっしゃるのか」と重ねて質問する。

武藤副社長が答える。

「これはともかく現在の状況をできるだけ安定の状況にしなければいけないわけでして、原子炉をともかく冷やすということに尽きると思います。そのためには、原子炉の中に水を入れ続けるということが大事なわけでして、今は、原子炉への注入を引き続き続けていくことに尽きると思います」

男性の記者が「ちゃんと答えてください」と食い下がる。別の記者が「逃げないできちんと答えたほうが東電さんのためですから」と声をかぶせる。

武藤副社長は「原子炉の状態をともかく安定させるということだと思います」と言う。

吉田部長が「予定の時間が参りましたので、本日はこれにて終了させていただきたいと思います。どうもありがとうございました」と言って、午後6時40分、記者会見を打ち切る。(引用ここまで)■

■Asahi Judiciary 福島第一原発40周年迎える 海水に濃い放射能はどこから?
2011年03月27日http://astand.asahi.com/magazine/judiciary/articles/2011032700003.html

この女性記者の質問はピカ一だ。今、国民が最も疑問に思っていること(電源が失われる可能性を想定してなかったのはなぜか)、最も心配していること(最悪の事態をどう想定しているか)、その2点にしぼって聞いた。

東電副社長は、その質問には答えず、津波に関してこれまで通りの弁解をくりかえした。驚くべきは東電広報部長が別の質問者をつのる形で彼女の質問を封じたことだ。

しかし、女性記者は偉かった。質問を繰り返した。東電は、不十分だが、なんとか1問目には答えた。しかし2問目への回答は出なかった。すかさず、また広報部長が、「あとおひとかた」と、新たな質問者をつのる方法で、彼女の2問目を封じた。

これに対して今度は、ある男性記者が「2つ目の質問に答えてない。逃げないで答えてください」と迫った。

この女性記者は、しんぶん赤旗の記者だとされている。女性であること共産党系であることが、日本ではいかに不利益になるかが、よくわかる。女性記者をフォローしたこの男性記者はどこのメディアか不明だが、ジャーナリスト魂を感じる。


■最悪の事態を想定しているブログ
http://pfalz.exblog.jp/13172823/
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by bekokuma321 | 2011-03-28 02:57 | 紛争・大災害