2011年 03月 16日
メルトダウンのしくみ
女性のほうが科学に弱いといわれているが、そんなことはない。そもそも放射能の発見者はマリー・キュリーだ。それに科学に弱い者も同じ様に事故の被害に陥る。わからないなどと言っていられない。
とはいえ・・・専門用語が多い上、次々に事態が変化するため、実際わかりにくい。
ニューヨークタイムズは、そんな素人に、わかりやすい言葉と図で、報道する。要訳してみたい。そもそもの原子炉の構造がわかると、次に進みやすくなるので、まずは第1号機の事故から。
この福島第1原発は、1971年に運転開始された。日本の原発55機のひとつで、沸騰水型原子炉という。この原子炉を製造したのは日本ではなく、アメリカのゼネラル・エレクトリック社である。東電が買ったのだという。アメリカは世界一の原発国だけでなく、原子炉製造国なのだ。アメリカが日本の原発事故に当初から強い関心を持ったのもうなづける。
図をクリックすると少しだけ大きくなる。図の説明は下に。
1 圧力容器。中に燃料棒がある。この外に格納容器がある。さらにその外壁が分厚い建屋。ぶっとんだのは建屋。
2 ものすごい数の燃料棒。その間に制御棒も見える
3 本来は、このように水にすっぽり浸かっていなければならない
4 ところが、燃料棒が外に全部出てしまった
5 燃料棒が高熱で赤くなっている
1 燃料棒は、ジルコニウムの合金で作られた細長い管のこと。
その中に、ペレット(かたまり)にしたウラニウム燃料がはいっ
ている。この燃料棒は、ふつうは、水の中に沈んでいる。燃料棒
の中で起きる核分裂反応によって出る高熱によって水は水蒸気に
変わり、タービンで発電される
2 原子炉が停止すると、下方にある制御棒が燃料棒の間に入り
込み、核分裂反応を止める。日本で地震発生後、制御棒は正確に
動き、原子炉は停止した。
3 しかし停止した後も、燃料棒から計り知れないほど高い熱が
発する。その高熱を下げるためには、燃料棒は水の中に沈んでな
ければならない
4 日本の場合、燃料棒の高熱を下げるための電力が(津波により)
来なかった。作業員は原子炉に注水し、水蒸気を水に戻そうとした。
しかし、水に戻るより早く熱水に変わってしまった
5 水は減り、燃料棒は水の外に露出し、どんどん高熱になった。
高熱になって、ジルコニウムの管は壊れ、放射線ガスや水素ガスが
発生した。おそらくは土曜日の爆発の原因である。ウラニウム燃
料が溶解しているかどうかは不明
6 完全に溶融となると、ウラニウム燃料のペレットが圧力容器の
底に落ちこむ。格納器は鋼鉄とコンクリートで作られているが、溶
解した燃料棒を支え切れず圧力容器が突き抜けてしまう。最悪の場
合は、溶融した燃料棒は、原子炉すべての構造を破壊し、想像を絶
する放射線物質が外に出る。しかし、物理学者は、そのようなこと
がありうるだろうかと疑問を抱いている。
■How a Reactor Shuts Down and What Happens in a Meltdown