ノルウェーの移民政策と一人の女性

c0166264_1222521.jpg「マリア・アメリエは、ノルウェーから出国し、彼女の祖国モスクワに戻りなさい」ーーこれが政府の決定だった(1月21日)。しかし、就業許可を求める申請はできる、とされた。ペーパーレス(不法移民)でも、仕事の申請は可能だというのだ。

マリア・アメリエは、1月13日、オスロ地裁から、違法滞在の容疑で祖国ロシアに戻るまで2週間の収監と判決が下されていた。翌日、彼女は、親(どこかに潜伏中)とは別に亡命申請手続きをし、18日釈放された、と報道されている。

こうしたノルウェー政府の対応を、NOASは厳しく批判する。NOASは、「ノルウェーに亡命を求める人たちの支援協会」。亡命申請者への法的支援、福祉サービスを提供する民間団体で、1984年に創設された。

NOASは、難民移民問題の解決を促すとともに、民族差別・外国人排斥思想と闘う。スタッフ12人が働き、その運営費は、国家補助金と、会員からの会費だ。「亡命問題の番犬」として、社会的に最も弱い立場に置かれている亡命申請者の人権擁護にとりくむ。迫害を受けた祖国に帰還させる厳罰主義的傾向にあるノルウェー政府に、制度改善を求め運動を続ける。とくに亡命家族の子どもの保護を強く求めてきた。

子どもの時、ノルウェーにやってきたマリア・アメリエは、移民申請をしても認可されないまま、ノルウェーに住み続け、数年でノルウェー語を習得し、人一倍の努力を重ねてトロンヘイムのノルウェー工科大学で修士を修了した。この自分の辛い経験を『違法移民Ulovlig norsk』という本に著した(写真)。同じ境遇の大勢の不法滞在者たちのハートをつかんだ。

NOASは、「政府は体裁を整えただけ。ロシアに戻ってから、ノルウェーでの仕事を探せるというのは無意味だ。ロシアの事務手続きは官僚的でスローすぎる…」と批判した。さらに、彼女の主張を支持し、ノルウェー語パピールースpapirløs「ペーパー(滞在許可証)なし」という呼称のキャンペーンを展開中だ。明日23日(土)、「不法移民はみな人間」というスローガンの大規模デモを予定している。

25歳の一人の女性が国中を動かしている。その様は、私にマーガレット・ミードの言葉を思い出させた。

Never doubt that a small group of thoughtful committed cityzens can change the world. Indeed it's the only thing that ever has.


http://www.noas.org/
http://www.aftenposten.no/nyheter/iriks/article3999122.ece
http://www.nrk.no/nyheter/norge/1.7472299
http://www.regjeringen.no/en/dep/jd/aktuelt/nyheter/2011/regelendringer-for-arbeidsinnvandring.html?id=631130(政府の緊急措置:不法滞在で国外追放となった人は、数年間入国禁止とされていた。今回、祖国から労働申請ができるとなった。不法滞在問題には手をつけず、就職申請条件の緩和で乗り切った形だ)
■ノルウェー移民政策をゆるがすマリア・アメリエ
http://frihet.exblog.jp/15792358/
■投票期間なんと2ヶ月半、ノルウェー国政選挙始まるーー全人口の1割占める移民「新ノルウェー人」の投票率向上へhttp://www.news.janjan.jp/world/0907/0907106705/1.php
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by bekokuma321 | 2011-01-22 03:37 | ノルウェー