イラン、「ヘッダ・ガーブレル」上演禁止

ノルウェーの報道によると、イラン当局は、演劇「ヘッダ・ガーブレル」の上演禁止を命じたという。この劇は「野蛮」で「享楽的」だからという理由だ。

ヘンリック・イプセンの不朽の名作『ヘッダ・ガーブレル』は、1890年の上演以来、非難を受けつつも、世界各国で上演されてきた。70年代にはイギリス映画にもなり大評判となった。最近、日本では、大地真央の主演で舞台化された。

主人公ヘッダは、ガ―ブレル将軍の娘。強烈な自我を持った女性だ。人生というのは退屈なものだと自分に言い聞かせ、愛してもいない男性と結婚をする。彼は気が優しいだけが取り柄の退屈な学者。ヘッダは、もちろん満足などしていない。

ヘッダにはかつて好きな男性がいた。夫とは違って野心的で刺激に満ちた男性だ。彼は、あろうことか、ヘッダの友人で夫に尽くすことが生きがいの平凡な女性と恋仲に。この女友だちと元恋人の2人で完成したといっていい新しい作品が世に出ることになる。あることから、その原稿を手に入れたヘッダは、暖炉に投げ込んで焼きつくしてしまう。

最後に、彼女は父の残した拳銃で自殺する。

ヘッダは“はみだし女”だ。19世紀の上流社会に期待されている女性像を生きることができない。彼女の複雑な心理。見る人をとらえて離さないのは、そこにある。

19世紀に書かれた演劇を、21世紀の社会が上演禁止にするとは! イプセン作品の社会変革力を恐れているからだ。イプセンの表現の力をあらためて思う。

ヘンリック・イプセン(1828―1906)はノルウェーの劇作家。『人形の家』、『野鴨』などの戯曲を書き遺した世界で最も偉大な作家の1人。

http://www.aftenposten.no/kul_und/article3985834.ece
http://www.rferl.org/content/ibsen_iran/2274508.html
http://frihet.exblog.jp/15227734/
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by bekokuma321 | 2011-01-13 14:01 | ノルウェー