精神疾患を公表したノルウェー現職首相の思い出

日本は、人口あたりの精神病床が経済先進国の中でだんとつに多い国だ、という。入院数も絶望的なほど長い、という。

精神疾患を持つ人たちが、住み慣れた地域で過ごせるようなサポートシステムが決定的に不足していることや、日本社会には、精神障がい者への差別や偏見が強く残っていることが大きな原因だと思う。後者に関連して、ノルウェーの元首相の話を思いだす。

ノルウェーには、過去、首相となった女性が2人いる。グロ・ハーレム・ブルントラントは80年代にノルウェー初の女性の首相となった。2人目はアンネ・ラーンスタインで、1998年の夏だった。副首相だったアンネ・ラーンスタインは、首相が病気のため休暇をとったため、法律にのっとって首相代行となった。この2人目の女性首相誕生は覚えていたものの、首相の病気休暇については関心が薄かったため、ちゃんと追ってなかった。彼の病名も知らなかった。





数年前、精神障がいを調査していて、アンネ・ラーンスタインが代行した首相はボンディビックで、彼の病気はうつ病だったと知った。

驚いたのは、ボンディビックは首相就任中、自分の病名を隠さず公にし、病気休暇をとったことだった。4週間の病欠後は、職務に復帰して2005年まで2 期首相の座を務めあげたことにも、驚かされた。女性首相アンネ・ラーンスタインをはじめ、連立政権を組んでいた他党党首たちが我先に首相の座を求める様子もなさそうだった。ノルウェー国民のほとんどが、首相のオープンな態度に好感を覚えたと報道されていた。うつ病に寛容というより、嘘をつかない誠実さに価値を置いているのだと思った。それでも、こうした精神疾患に寛容でなければありえないことだと思われ、深い感銘を覚えた。

その後、政界を辞したボンディビックは、精神障がい者への先入観をなくすことに貢献した首相として、世界中から講演にひっぱりだこだ。現職首相の精神疾患の公表は、世界でもまれな例だからこそ、招待されるのだろうが、同時に、世界は皆、この問題におけるオープンさを強く求めているのだ。

「汚い衣類は家の中で洗え」を打ち破った、ノルウェー元首相の言葉を引用する(引用先はAgainst Discrimination)

「オープンにすることは、偏見をなくすために不可欠である」

「私が病気をオープンにしたことは、重要なことだった。私の行動が波及効果を生み、芸術家や他の政治家など公人たちが、精神疾患を患っていることを公にするようになった」

「施設は、メディアに開かれたスタンスを持つべきだ。施設にもっとジャーナリストを呼ぶべきだ!メディアを教育しようとする精神科医は、もっと注目されるべきだ」

「精神障がい者自身も、自分の病気を外に伝えることで偏見の除去に貢献できる。とりわけ、社会の指導的立場にいる精神障がい者に対して言いたい」

「多くの人たちが、私の個人的な話を聞きたがっている。私がオープンに話すことで、精神疾患は、他の病気となんら異なるものでないことがはっきりする。そして、この病気は治る。私がその生き証人なのだ」

http://journalistaward.stop-discrimination.info/fileadmin/ja09/Winning_articles_EN/228_JA_NL.pdf
http://ec.europa.eu/employment_social/fdad/cms/stopdiscrimination?langid=en
http://www.independent.co.uk/news/prime-minister-too-depressed-to-run-country-1195462.html
PM's economic depression
Norway Leader Ends Leave For Depression.html


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◆汚い衣類は家の中で洗えhttp://frihet.exblog.jp/15568509/
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by bekokuma321 | 2010-12-06 17:07 | ノルウェー