精神障がいとジェンダー

11月27日、毎日ニュースにこんな事件が載っていた。

【26日、新座市栗原のマンションで、精神に傷がいを持つ2女性(28歳)が、精神病院への入院を嫌がって自室にたてこもった。包丁を持って。彼女は父親と兄との3人暮らしで、自宅内には、父親と兄がいたが、けがはなかった。女性は7時間後、夕方4時すぎ、埼玉県警に確保され、病院に移送された】

ニュースには「精神病院」と言う言葉はなかった。しかし、「措置入院させるため、市職員や新座署員ら計9人がマンションを訪れた」という記述から、精神病院への移送であることは明らかだ。包丁を持ってまで入院を拒んだ女性を強制的に入院させたのである。

先週、京都で私はきわめて良心的と評判の高い精神病院を視察したばかりだ。その病院は開放病院だった。しかし、閉鎖病棟もあった。そこには3畳ほどの「保護室」があった。小さな窓がひとつに、トイレがついている小部屋だった。そこには10代後半から20代初めと思われる痩せた女性が横たわっていた。

精神病への治療は、家族との関係、社会の規範、周囲とのかかわりの中で対応すべきだといわれている。新座市の女性は、どのような暮らしをしていたのだろうか。父親と兄という男性2人との生活はどのようなものだったろうか。なぜ家族が彼女を精神病院に入院させようとしたのだろうか。記事からは不明だ。

日本の精神病院、とくに私立精神病院の多さは、世界的にも類もみないといわれる。精神病院閉鎖への道が急がれる。それと同時に、退院後の社会復帰のための支援・サービスの充実すべきだ。それとともに、この問題改善のプロセスにおける、ジェンダーの視点を強調したい。

この国は、あらゆる分野でジェンダーの視点の欠如が見られる。心の病ほど、ジェンダーにセンシティブな視点がほしい分野はないと思う。しかし、日本では、精神疾患の問題をジェンダーの視点で研究調査したものはなきに等しいようだ。





c0166264_141929.jpgWHOによる「女性と精神保健についての事実」

1)女性のうつ疾患は、精神障がいの41.9%に登り、男性の29.3%に比較してきわめて高い
2)高齢者の精神疾患問題は、うつ、脳機能シンドローム、痴呆であるが、その患者のほとんどは女性である
3)暴力的紛争、内戦、災難、追放によって5000万人が影響を受けているが、その80%は女性と子どもである
4)女性が、一生涯のうちに暴力を受ける割合は、16%から50%にのぼる
5)女性の5人に1人が、強姦や強姦未遂にあっている

女性の精神保健におけるWHOの視点

1)女性の精神保健問題の普及とその原因についての証拠、ならびに女性の仲介と保護の要因についての証拠を集めること
2)女性が必要とすること、ならびに子ども時代から老年までの女性の関心を記載した精神保健政策をつくり、その執行を促進すること
3)ドメスティック・バイオレンス、性的虐待、緊急ストレス、慢性ストレスから来る、女性の精神疾患があることの認識、ならびにその治療のために、基礎的健康ケア者の能力を高めること

思えば、日本軍によって「従軍慰安婦」にされたアジア諸国の女性たち(当時10代、20代)が、強姦・性的虐待による後遺症から、今なお、精神疾患に苦しんでいるという・・・。女性と精神疾患を考える際、私たち日本人は避けて通れない。


WHO情報の出典WHO:Gender and women's mental health


■Women’s health is inextricably linked
to their status in society. It benefits
from equality, and suffers from discrimination.
Today, the status and
well-being of countless millions of
women worldwide remain tragically
low. As a result, human well-being in
general suffers, and the prospects for
future generations are dimmer.
The World Health Report 1998--Life in the 21st century A vision for all--Report of the Director-General

■否定された市民Denied Citizens:WHO写真キャンペーンhttp://www.who.int/features/galleries/2005/mental_health/01_en.html
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by bekokuma321 | 2010-12-04 15:59 | その他