イタリアに学ぶ精神保健――入院から地域へ

「日本縦断トリエステ精神保健講演会」
~マニコミオをやめたイタリアからのメッセージ~

第3弾は、11月20日(土)、大阪市中央区民センターホールで行われた。500人席がほぼ満員。主催のNPO大阪精神医療人権センターの闘いの強さと広がりを感じさせられた。

今回はNPO大阪精神医療人権センター25周年記念行事の一貫。同センター代表理事の弁護士里見和夫さんは、「精神病院に風穴を開けよう」というスローガンを掲げて、精神病院面会をしつづけてきた。あの「大和川病院事件」追及を通じて、大阪府行政までまきこみ精神障がい者の差別撤廃・権利擁護を進めてきた方だ。

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トッマーゾの使用したスライド。「精神病院は完全に閉鎖しなければならない。なぜなら・・・」(photo by Mariko Mitsui)





講演はジゼッラ・トリンカスのみ。講演内容は神奈川県とほぼ同じなので精神病院をやめたイタリアから続を参照。

ジゼッラ・トリンカス講演後、イタリアからの講師3人が登壇した。参加者からの100枚近い質問用紙からほんのいくつかを選び、それに3人が答えた。最も印象深かったのは、「精神病院をなくすのではなく、理想に近い精神病院に変えてゆくのではいけないか?」という質問。その時の3人の発言は・・・。

トッマ―ゾ・ロザーヴィオ(精神科医、精神病院閉鎖プロジェクト責任者)
「目の前には500人がいるが、ここにいるひとたちの中に、このような質問を本気で考えている人がいるのですか」

マリアグラッツィア・ジャンニケッダ(バザーリア財団理事長)
「誰が質問したのでしょうか。はっきりさせたいです。これが精神科医なら、深刻です。家族なら、別の意味を持ちます。当事者なら、その質問の意味を私は理解できます。経営者が、精神病院を5つ星のホテルのようにすると思いますか。理想的な精神病院などこにも存在しません。大事なのは、精神障がい者のために現実的な居場所をつくりあげることなのです」

トッマ―ゾ「素晴らしい精神病院を作っても、その経営がだめになって、精神病院の外にほおり出させられた多くの精神障がい者を知っています。その時に、地域にその人たちを支えるサービスがなかったらどうなりますか」

ジゼッラ・トリンカス(イタリア家族会連合会長)
「イタリアでもまったく同じ質問がありました。家族会での声でした。その答えはノーです。精神病院は改善できるような場所ではありません。昨日、京都で見学した精神病院は、清潔で美しいところでした。でも、そこにいた人たちは皆全員、悲しみと諦めの表情をかもしだしていました。施設にはいって、全員がある一定の生活リズムで同じように生きてゆくことなど、不可能なのです」


大阪精神医療人権センター
精神科で発覚した主な問題事件(原昌平氏作成の年表を大阪精神医療人権センターが抽出したもの)


主催:
●日本縦断トリエステ精神保健講演会実行委員会(HP 「日本縦断トリエステ精神保健講演会」)委員長:堂本暁子 事務局長:大熊一夫 委員:伊藤順一郎、門屋充郎、大石真弥、大石賢二郎、恒松由記子、久永文恵、田島光浩、三井マリ子、半田卓穂
●フランコ・バザーリア財団

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by bekokuma321 | 2010-11-21 02:32 | ヨーロッパ