日本の政党にクオータを実行する気は見えない

c0166264_20362836.jpg日本の大政党には、クオータ制を実行しようという気がない。こう憤慨するのは全国フェミニスト議員連盟(写真)。

同連盟は、今夏、11政党にクオータ制についてアンケート調査をした。それに、民主、自民、公明の3大政党は、実行予定も、何%にするかも「未定」と回答してきた。日本の主政党には女性議員率を上げねばならないという認識が希薄であることを裏づけた、と同連盟は分析する。

日本は、女性国会議員の世界ランク186カ国中121位である。目を覆いたくなるが、政党の今回の調査を見る限り、当然のなりゆきだ。この汚名を返上できる日はまだまだはるか先だろう。

しかしこれでは、暮らしにくさにあえぐ女たちはたまったものではない。保育所・学童保育不足、女性の貧困、セクハラ・DVの横行、非正規職場に追いやられる大勢の女性、介看護職の高離職率、女性差別民法・・・などが放置されたままとなる。こうした深刻な社会問題が政治の優先課題にならないからだ。

それにしても、一歩でも改善に近づけようという姿勢が、主要政党にまったく見られないのは、女性有権者をなめきっているとしかいいようがない。

女性差別撤廃条約を日本政府が批准してから、25年になる。同条約は、あらゆる分野における女性差別を撤廃するための国際法だ。その第4条に、実質的な男女平等のためにとるべき「暫定的特別措置」が規定されている。クオータはそのひとつで、一方の性がたとえば40%となるように割り当てる措置のことを指す。これまで、日本政府は、女性差別撤廃委員会から、何度も、この「暫定的特別措置」の実行を勧告されてきた。批准国全体に出す「一般勧告」にも、その実行が明記されている。

国会議員は、国民の先頭に立って法(国際条約も)を遵守すべき立場ある。その国会議員を誕生させるマシーン――それは政党だ。その政党がクオータ制に無頓着なのは、女性党員の力不足もあるが、奨励策を講じてこなかった過去の日本政府の怠慢にある。

『第三次男女共同参画基本計画策定にあたっての基本的考え方(答申)』に、「クオータ制」が明記されたが、日本の政府として初めてのことだった。

Moreをクリックすると、全国フェミニスト議員連盟の政党アンケート結果の詳細が読める。





アンケートの結果と見解

●回答のあった6政党のうち、4党はクオータ制について、実行予定がない、すなわち「やる気」のないことがわかった。予想はされたものの、極めて遺憾である。中でも民主党、自民党、公明党という三大政党の消極姿勢こそ、女性の政治進出を阻む要因のひとつだ。とりわけ現与党民主党に、女性差別撤廃条約やCEDAW勧告にもりこまれたクオータ制を尊重する姿勢が見られないのはゆゆしき事態である。

●クオータ制を実行していると回答したのは社民党のみであり、割合は40%から60%を「目標とする」とある。共産党は「女性の割合を抜本的に増やすための計画的養成の努力をし、2010年参院選の比例代表制候補の50%は女性」とある。

●党内の最高機関における女性の割合は、20%から10%台と、非常に少ない。これでは、党の政策やマニフェストをジェンダーに敏感な視点で検討・審議・決定することは困難である。民主党が「男女比は算定できない」と回答しているが、最近の党大会の男女比を例示的にあげることぐらいはできたはずだ。男女平等推進の基礎となるジェンダー統計の必要性を全く認識していない姿勢には失望させられる。

●衆参両院における女性議員の割合は、すでに統計があるためだろうが、全党が明快に回答してきた。それによると女性議員の割合は、最高でも30%に満たない。中でも衆議院の自民党女性議員はわずか7%にすぎず、自民党衆議院は極端な男性偏重社会である。他政党も似たような実態であり、このような場から、性に中立な、または女性の利益を考えた政策は出てきようがない。加えて、政党は、政党助成金という公費を拠出される団体なのだから、公平を旨とすべきであり、極端に一方の性に偏るような支出は改善するべきである。

●政党に男女共同参画推進機関がありながら、本アンケートには共産党を除いて、女性局など別機関の人が回答してきた。その理由は定かではなく、今後の聞き取り調査が必要である。また自民党の男女共同参画推進協議会は人数の記載がないことに驚かされた。

●クオータ制という暫定的特別措置は、世界の多くの政党によって、その選挙候補者決定過程や、党内決定機関において実行されてきた。男女でバランスのとれた政治を作ることは世界の民主主義の要請だからだ。しかるに世界で最も女性議員率が低い層に留まることウン十年の日本、その主政党に、その努力のあとは見えない。まず報道機関などに働きかけ、この実態を広く知らせ、ことの重大さを共有することの必要性をあらためて認識せざるをえない。


■全国フェミニスト議員連盟
http://www.afer.jp/
■女性差別撤廃条約http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/josi/
■女性差別撤廃委員会の一般勧告http://www.gender.go.jp/teppai/kankoku.pdf
■同一般勧告(原文)http://www.un.org/womenwatch/daw/cedaw/cdrom_cedaw/EN/files/cedaw25years/content/english/General%20Recommendations%201-25%20-%20English.pdf
■第6回日本政府報告に対する女子差別撤廃委員会最終所見(外務省による和訳) http://www.gender.go.jp/teppai/6th/CEDAW6_co_j.pdf
■第6回日本政府報告に対する女子差別撤廃委員会最終見解(原文)
Concluding observations of the Committee on the Elimination of Discrimination against Women Japan
http://www.gender.go.jp/teppai/6th/CEDAW6_co_e.pdf
■第3次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(答申)http://www.gender.go.jp/danjo-kaigi/kihon/sanjikeikaku/toshin/index.html

写真は、記者会見に臨む全国フェミニスト議員連盟代表の矢澤江美子(八潮市議、左)、中村まさ子(江東区議)
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by bekokuma321 | 2010-09-10 20:35 | その他