代理母出産をめぐって

NRKは、ノルウェーにおける代理母出産をめぐって特集を何回か組み、議論をまき起こしている。NRKとはノルウェー国営放送だ。

ノルウェー妊娠・不妊協会代表のレナータ・クースズスは「この数年、海外で代理出産をするノルウェー人が非常に増えている」と言う。代理出産ビジネスが盛んなアメリカが多かったが、最近はインドが多い。

あるノルウェー人カップルは、5年間不妊治療を試みた結果、あきらめた。すぐ養子縁組を考えたが、長く待たされた揚句、養子をもらえるかどうかはっきりしない養子縁組よりも、確実性の高いインド女性による代理出産を選んだ。現在、インドの代理母は妊娠9週間にはいり、そのノルウェー人カップルが支払っているアパートに暮らしている。

バイオテクノロジー審査委員会会長のラース・オーデガールは、「代理母出産をめぐっては倫理的課題が多い。子どもがほしいという夫婦だけの問題ではなく、命の危険と隣あわせで出産をする女性の問題がある。とくに貧しい国の場合は、格差問題が深刻である」と語る。

オスロ大学のシーセル・ロールクバム教授は、「インドでの代理母出産は人身売買です」と断じる。さらに「社会的に弱い状況におかれている人間に対する虐待といえます。人身売買は強迫された中で起きる虐待ですが、インドの代理出産は、貧しさという強迫下で起きているのです」と猛反対だ。

世界の貧しい人々の36%がインドに住むと言われている。胎児死亡率、出産時の母親の死亡率が、極端に高い国でもある。お金の必要に迫られて代理母となるインド女性にとって、「子どもは金」だ。それゆえ、インドにおける関連産業は乱立ぎみだ。

ノルウェーで、代理母出産問題をさらに加熱させたのが、カーリ・アン・ボールデン。シングルマザーの彼女は、インドで、自らの卵子に人工授精をし、インド女性と代理出産契約をした。そして1月24日、ムンバイで双子の男子が誕生したものの、ノルウェーに帰国できないまま半年近くインドに留まっている。インドの法律によると、双子の母親は、法的にも生物学的にもカーリ・アン・ボールデンだ。しかしノルウェー法は違う。子どもを産んだインド人が母親となる。つまり双子の母としてノルウェーに帰国するには、養子縁組しかない。

日本では、アメリカで代理母出産をした向井亜紀の件が、日本でも大きな話題となった。向井のように代理母出産が国内で認められないため、アメリカなど海外で契約実行するカップルが多いという。また契約金が格段に安いインドでの代理母出産も増えているようだ。この点は、ノルウェーと同様である。

今後、日本でも、賛否両論を含め、さまざまな角度からの議論が必要だ。
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by bekokuma321 | 2010-07-01 04:01 | ノルウェー