2010年 04月 25日
仕事と家庭の両立支援は企業の社会的責任である
2人は、女性が活躍できることがビジネス成功の鍵であり、それは持続可能な社会への道につながると、情熱的に語った。
グリーンデラン外務次官は世界有数の女性労働力率を誇るノルウェーの実態を、こんな数字で示した。
「25-60才女性の80%が働く」
「3才以下の子を持つ女性の75%が働く」
「3-6才の子を持つ女性の84%が働く」
日本は、その正反対だ。つまり出産した女性の70%が職場を去ってゆく。
では、ノルウェーはなぜこうなのか? それには、2つの重要な政策がある。まず、男性の家事育児参加の奨励。男性の90%が育児休業をとって家庭で子育てを分担している。もうひとつは、保育園の充実の推進だ。今や待機児童ゼロにまでなった。
つまり、日本の女性のほとんどが仕事を辞めざるをえないのは、この2つの政策が希薄だからだ。
彼は、仕事と家庭の両立は、何も余暇が増やすということではなく、人間は休暇によって、働く意欲が増し、生産性の向上につながることだという。だからノルウェーの「労働環境法」では、週37.5時間労働、残業時間を年300時間以下という規制がある。さらに公務職場の全ての人が、フレックスタイム制をとることが保障されている。
企業の社会的責任とは、企業が生産をあげている社会の行く末に、企業は責任を有するということだ、と彼は強調する。人権侵害をしない、環境汚染をしない、労働基準を守るというような企業責任は当然であり、今や、どういうふうにそれらの効果を上げるかに移っているという。企業そのものだけでなく、企業に必要な製品やサービスを購買する際、その製品やサービスを提供する会社が社会的責任を回避しているなら買わないということにまで広がっている。
企業の社会的責任。それは、人権重視、労働者の権利の尊重、適正な労働環境、環境保護と温暖化防止、汚職根絶、透明性の確保・・・。女性を差別して女性の人権を軽視しているような会社は、社会的責任を果たしていないといえる。
具体例として「グローバル・ペンション基金Pension Fund Global」をあげた。この基金は、石油の利益を長期的に有効に活用するために創出された。総額457billion USDと、世界最も大きな投資資金のひとつである。
この基金は、社会的責任の観点から、今年1月、タバコ会社17社に対する投資から撤退したという。
日本も、企業の社会的責任という言葉をよく使う。英語ではCooperate Social Responsibility,略してCSR。せいぜい利益の残余をチャリティ団体に寄付するぐらいしか考えていないふしがあるが、どうだろう。
Government Pension Fund