2009年 09月 07日
ノルウェー選挙:スクール・エレクション
各学校の投票結果は全て集計され、インターネットを通じて公表される。今年は、明日9月8日(火)午後8時に結果がわかる。
ノルウェーは、法律で、選挙権は18歳以上、選挙の場所も定められているので、スクール・エレクションはもちろん正式の選挙ではない。「模擬選挙」と呼んだほうが、私たちにはわかりやすいかもしれない。
報道によると、今年は、全国のほぼすべての中学校・高校がスクール・エレクションへの参加を表明しているという。
選挙活動の方法は、学校によってさまざまだ。生徒会(生徒議会と呼ぶ)が企画実行にあたる。支持する政党がはっきりしている生徒の代表が、講堂の演壇に並び、大人顔負けに政治討論会をしたり、学校のある地域の政党幹部または議員候補自身が、学校に招かれ、演説会をする場合もある。先生が生徒に「政党事務所で選挙公約を調査してきて、支持政党を決めること」というようなフィールドワークを課し、それに基づいてクラスで政治討論会をし、生徒の投票に結びつける場合もある。
選挙キャンペーンを経て、生徒たちは、学校ごとに投票をする。以前、スクール・エレクションの取材をしたことがあるが、その時訪問したある学校では、職員室に「投票箱」が設置されていた。
おもしろいのは、中高生の選挙結果を政治評論家やメディアも注目し、大きく報道することだ。1週間後に控える本番の投票行動の参考にされるのである。日本で、子どもや女性による「模擬議会」が開かれることがあるが、社会への影響がまったくなく、スクール・エレクションとは雲泥の差だ。
重要なことは、ノルウェーでは、教育現場の政治活動は、生徒の民主主義養成に役立つと、奨励されてきたことだ。
集計管理を担う「社会ウェブ」は、スクール・エレクションを、「政治的ロールプレイである。生徒たちは、実際の行動を通じて、選挙や、政党、選挙事務局について体得し、この国の政治制度がどのように動いているかを知ることになる」と意義を語る。
「男女平等世界一の国」、「世界で最も住みやすい国」の背景には、こうした教育の力がある。
■参考サイト(ノルウェー語)
http://www.nsd.uib.no/index.html