2009年 06月 16日
日本はどんなに早くても世界98番目
女性差別撤廃条約は、世界の女性憲法だ。女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃をうたっている。しかも、差別とは、性による区別、排除、制限である、と定義づける。女性を結果として女性の地位をあげることにつながる積極的差別是正措置affirmative actionは、性による区別の例外である。
最大の特徴は、性による役割の固定化こそ、性差別の要因だと規定し、性による役割分業をなくそうとしたことである。さらに、性差別の撤廃は、まず政府の責務だと定めた。これも画期的なことだった。
この条約を批准したのは1985年。世界で72番目という遅さだった。なぜか。批准するためには、当時の日本で当たり前だった女性差別の法制度を撤廃し、条約にあわせなくてはならなかったからだ。
80年代初頭、女性たちは、条約批准を求めて大きな運動をおこした。教育の中の性差別、つまり家庭科の女子のみ必修を改正すること。2番目は、父系主義の国籍法を改正し、国際結婚で生まれた子どもの母親が日本人であっても日本国籍をとれるようにすること。3番目は、雇用における女性差別を禁止する法律がないため、それを新しく作ること。
女性差別撤廃条約をどうしても日本で批准しよう! そのために、上記3点を実現させた。そしてやっと悲願がかなった!
それから24年。早や四半世紀の時が流れた。ところが、条約が批准されても、日々の暮らしに定着しているとはいえない。どうしたらいいのか。その解決策のひとつが、選択議定書の批准だ。選択議定書批准によって、個々人が受けた女性差別を、女性差別撤廃委員会に訴えることができるようになる。この制度が保障されれば、「国連に訴えられたらかなわん」と、行政の怠慢も少しは改善されるだろう。
選択議定書の批准には、80年代のときのような国内法整備は必要ない。国会で過半数が賛成なら通過するのだ。しかし・・・。すでに世界97カ国が批准しているそうだ。すると来期の国会で奇跡的に批准されたとしても98番目。女性差別撤廃条約批准の時より、26番も順位が下がることになる。
順位に敏感な日本が、女性に関してだけは行政もメディアもポーカーフェイスだ。日本政府の男女平等の認識のにぶさ、歩みののろさを象徴しているようだ。
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