2009年 06月 09日
EU議会選挙
イギリスでは、「外国人排斥」「純粋イギリス人国家への回帰」を公約に掲げるBNPが初めて議席を獲得。しかも2議席である。BNPは、イギリス国民党(British National Party)の略で、党首は人種差別をあおった容疑で逮捕されたこともあるニック・グリフィンNick Griffin。党員にはヒトラー信奉者がいる。
EU議員に当選した党首は、当選後、自党のインターネットTVで、「津波のような大支援を受けた」「我々の時代がきた」「我々が一生懸命働いた税金で移民たちや働かない怠け者たちが暮らしている」などと気勢をあげ、ポーランド人、ルーマニア人労働者の台頭を攻撃した。
BNPはインターネットで選挙運動を展開。父権主義的なメッセージを今風にアレンジした映像を送り続けてきた。すなわち、労働党や保守党など規制政党を「ガッツがない」「勇気がない」「役立たず」などと総攻撃。そんな「子猫ちゃん」政党に投票せず、「雄ライオン」の我々BNPに投票せよ、と叫ぶ。
党首は、強い国家こそ、あなたを守ってくれるという幻想をふりまき、家父長制国家への回帰をあおる。「国家は大きな家族であり、父親が家族の世話に責任を持つように、国のリーダーは困っている国民に対して責任をとらねばならない」などとし、「しかし、政治は困っているイギリス人にではなく移民に向かっている」と単純化する。
BNPについて批評を続けてきたバース大学ロジャー・イートウェル教授は、以下のような警告を発している。
「BNP党に入る若者たちは政治的だった人は少ない。彼らは自分たちを人種差別主義者だとも殺人者だとも思っていない。信念があってBNPに近づいてきている。…BNPの支援者にとって、大きなテーマは移民問題と厭世主義である。今、この厭世主義が台頭している」
日本でも、極右団体は、男女平等を毛嫌いし、父権主義回帰を掲げる。その一方で現在の閉塞感の打開を外国人排斥運動に結びつけ、排外主義をあおっている。まったくお門違いだ。
ところで、女性議員数であるが、前回の31%からどのくらい増えたかはまだ不明。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/8088309.stm
http://www.independent.co.uk/news/world/europe/right-advances-in-europe-amid-voter-apathy-1699587.html
http://www.guardian.co.uk/politics/2008/nov/22/bnp-far-right-race
http://mythsaboutrace.wordpress.com/2009/05/19/twenty-per-cent-of-british-voters-agree-with-bnp/
http://bnp.org.uk/
http://613action.blog85.fc2.com/
http://www.womensenvoy.eu/
http://www.womenlobby.org/site/hp.asp?langue=EN