あるべき姿へ進む政治―『週間金曜日』を読んで

■ ノルウェー便り ■

『週間金曜日』掲載のノルウェー経済界についての記事(注1)を読みました。

良い取材が出来ていて、日本人の疑問に答える記事になっていて、三井マリ子さんのジャーナリストとしての才能に感心しています。民間企業の役員に女性を増やすという話については、初め、クオータ制を民間企業にまで導入とは、とんでもないことを決めたもんだな、と思っている人が、こちらでも多かったように思います。

ところが、どんどんと目標に近づかせていくこちらの政策決定の進め方に、驚くばかりです。日本にいたら、何でそうなるか、まったく理解ができないようなやり方です。

c0166264_18403956.jpgこういう男女平等のテーマになると、よく日本人が聞きたがるようなことがありますね。たとえば、男の恨みや、怒り、など。そういうようなことがこちらではあまり記事にならないのです。確かに逆差別だ、と感じている男性は結構いると思います。「経験や能力のある女性の数が実際少ないのだから、しかたがない」と感じていた男性たちも多いでしょう。

でもそんなこと、おおっぴらに言ったら、「今どきそんなことを言うのか、時代に乗り遅れている人」と烙印を押されてそうだから、本音を言わない人がかなりいるように思いますね。賢い男性は黙っているのです。同時にこちらの社会では多くの分野で、すでに女性たちが実力を発揮しているので、もうそんな発言はできない、とい雰囲気があります。

こちらにいても何が何だか、どうしてそこまで押していけるのか、あっけにとられることもあります。「男女半々は、理想だけれど、現実はそうはいかない」と日本では言われそうですが、こちらでは「あるべき姿を示して、そこに早く到達できるように良い手段をうっていくのが政治だ」と、突き進ん行くのです。「あるべき姿」と「及び腰で語る夢」と日本とノルウェーでは、対応が随分異なります。

でも、これまでの政策でも見られたように、徐々ににそれが社会一般に受け入れられていくのです。待っていたらいつまでも到達しませんから、こういう方法が取れるのは、うらやましいというか、すごいというか・・・

c0166264_1814719.jpg今年2009年の7月1日以降に出産するパパママは、46週(100%有給)、または56週(80%有給)の育児休業制になるそうです。ノルウェーでは、1歳未満の赤ちゃんを保育園に預けて仕事に戻るの親は、ほとんどいません。

そのうち、パパ用は10週間になります(パパ・クオータ)。これもかなりすごいですね。パパの育児休暇は今まで6週間。これでもすごいと思っていたのに、さらにジャンプして10週になるのですね。これをママが肩代わりすることは出来ないのです。日本じゃ考えられないですね。

日本とノルウェー両国で、「当たり前」「ふつう」という考えが、あまりにかけ離れてしまっているため、日本から視察にいらっしゃる方々には、非常にわかりにくいような気がします。架け橋となる仕事をするためには、工夫と知恵がいるようになります。

マリ子さん、ますます活躍してくださいね。期待しています。

守口 恵子(ノルウェー語通訳、ノルウェー・オスロ在住)(注2)

注1:「『取締役クオータ制』で女性重役急増のノルウェー経済」(週間金曜日 2009年3月6日号)
注2:守口恵子さんは時々来日し、日本とノルウェーの架け橋として活躍しています。ノルウェー夢ネットでの守口さんのお話はこちらをクリック「福祉国家ノルウェー事情」


写真:上は国会議事堂前をベービーカーで闊歩する女性。下は国会議事堂のすぐ前のスケートリンク場で遊ぶ子どもたち。正面が国会議事堂(オスロにて)

関連サイト 
http://frihet.exblog.jp/11125937/
http://janjan.voicejapan.org/world/0812/0812173697/1.php
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by bekokuma321 | 2009-05-27 11:19 | ノルウェー