世界で最も女性議員が多い国ルワンダ

c0166264_5142799.jpg1月24日、「世界は進む 日本は進まず―パリテ、クオータ、男女共同参画」と題するシンポジウムが開かれた。企画・主催は全国フェミ二スト議員連盟

世界182カ国の女性議員数を比較したIPU調査がある。それによると、1位はルワンダ、10位はノルウェー、95位はチリ、104位は韓国。そして、目をおおいたくなるほど下の下、136位に位置するのが日本だ。

「クオータ制を含む積極策の実行を」という勧告が国連から日本政府に届いているが、政府はなんら対策をとっていない。では、いったいどうすればいいのか。4大陸4カ国からヒントを聞き、日本での女性議員増運動をいっそう強化しようと、開催された。

報告したのは、ルワンダのアリス・カレケジ(国際弁護士)、ノルウェーのカーリ・ヒルト(大使館参事官)、韓国の張宗完(大使館立法官)。そして、チリに詳しい後藤政子(神奈川大学教授)、日本の赤松良子(WINWIN代表)。

特に感動したのは、アリス・カレケジ弁護士の報告だ。カレケジ弁護士は、ルワンダの伝統的裁判である「ガチャチャ法廷」の研究で博士論文を執筆しており、ルワンダ復興の専門家だ。

1994年のジェノサイド後、女性たちは、政治、法曹、経済、教育などありとあらゆる場のリーダーとして活躍している。金字塔は、2003年に制定された新憲法。その9条4項には、意思決定機関のすべてのポストの少なくとも30%を女性にするというクオータ制が明記されている。

法律にはあっても実際にそうなってないことが多いのが世の常だ。しかし、ルワンダは違う。ルワンダ国会は、2003年、女性議員が48.8%(80人中39人)を占め、2008年には56.3%(80人中45人)までになった。女性議員が男性議員を、数の上で上回り、女性議員率世界一の国となった。

世界の奇跡ともいえる偉業に到るまでには何があったのか。そのコアとなったものは、女性たちのpolitical will (政治的意思)であると、アリス・カレケジ弁護士は強調した。

アリス・カレケジ弁護士の報告に基づいて、その社会的背景を5点あげる(原語は英語、訳は筆者)。

1)連帯:
40(資料によっては48)もの女性団体が連合をし、国際的な規約CEDAWなどを使って、国際的連帯と国内の草の根の女性の力をまとめ、政府や指導的立場にいる男性にプレッシャーをかけ続けた。政党や人種を超えて、「Twese Hamwe (一緒にAlltogether)」というルワンダ語の下、まとまとまった声として、キャンペーンをした。ルワンダ全土において、女性、平和、発展を促進することが使命。連合体は“Pro-Femmes Twese Hamwe ”(女性のための連帯)と名づけられ、1992年に作られた

2)女性協議会:
「発展におけるジェンダーと女性省」がジェノサイド直後、女性協議会Women's Councilを創設した。これは、地方議会と同様の機能を持つ女性だけの組織で、女性の問題を扱い、また地方議会について学習・訓練をしたり、女性の意識向上に取り組んだ。女性協議会の代表は自動的に地方議会に議席を有するため、女性協議会の声を地方議会につなげることができた

3)経済的支援:
1999年の相続法改正は、それまで女性に認めてなかった相続権を女性に認めるという大改革だった。これによって女性の経済的自立の土台ができた。さらに、女性の起業化に向け特別ローンや女性向け基金で経済的支援が行われた

4)国会議員女性特別枠:
ジェノサイド以来、女性議員増がいくつか試みられ、その一つとして、女性の問題についてのみ働くために選ばれる女性国会議員2名枠が新設された。この2人は政党の候補でなく、全国の草の根の女性たちとつながっている「女性協議会」のような組織からの候補である。これが憲法の30%クオータ条項につながっていった

5)女性国会議員フォーラム:
女性国会議員でつくる女性国会議員フォーラムFWRPがある。これは単に国会議員の集まりではなく、全国40の女性団体とつながっていて、女性の利益を国会に届ける役割を持っている。すべての政策に男女平等の視点がはいるように監視もする。さらに、このフォーラムは、全国の草の根の教育のない女性たちとつながり、女性たちへの啓発、訓練、情報伝達を担い、女性候補擁立に大きな役割を果たした


世界一の女性国会議員の陰には、以上のような具体的な活動があったのである。ジェノサイドという想像を絶する悲劇の後、反軍政・反戦ムードが広がっただろう、親女性的空気が国をおおっただろう、男性が激減しただろう。当然である。しかし、それだけで世界一は決して成し遂げられない。女性たちの不屈の闘いなしに、この偉業はありえない。世界の模範を作り上げたルワンダの女性たちに、心の底から敬意を表したい。

(写真はアリス・カレケジ弁護士。文京区男女平等センターにて。高橋三栄子撮影) 

参考
●DVD Rwanda Women Celebrating Achievements Directed & Produced by Eric Kabera, A Link Media Production for the Rwanda Women Parliamentarian Forum, 2007
http://www.international-alert.org/pdfs/Rwanda%20-%20Gacaca%20meeting.pdf
http://www.ipu.org/splz-e/kigali01.htm
http://www.idea.int/publications/wip2/upload/Rwanda.pdf
http://www.quotaproject.org/CS/CS_Rwanda_Kanakuze_2004.pdf
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by bekokuma321 | 2009-01-26 05:27 | アジア・アフリカ