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アンネ・カット・ヴェストリ逝去

12月15日、ジェンダーにとらわれない本を書いて人気者だった子どもの本作家アンネ・カット・ヴェストリAnne-Cath Vestly がなくなった。88歳。

彼女はノルウェー・へードマルク県の山間部リーナの出身。1960年代に書いたオーロラシリーズで、母親が弁護士で、父親が2人の子どもと家にいる主夫というような、ジェンダー役割を超えた新しい家庭を描いた。また母親が清掃作業員として家族を支えているシングルマザーの童話もある。「おばあちゃんと8人の子どもたち」というオスロのアパートに住む非典型的家族が展開するシリーズは、ノルウェーで最も人気の高い作品のひとつとされている。

http://www.norwaypost.no/Culture/Author-Anne-Cath.-Vestly-dies-at-88/menu-id-32.html
http://www.norway.org.uk/culture/literature/children/children.htm
http://www.bookrags.com/wiki/Anne-Catharina_Vestly
http://www.nfi.no/english/norwegianfilms/nf1999/olealeks.htm

追記:
ノルウェーの友人が、アンネ・カット・ヴェストリについて私にこんな話をしてくれた。友人は40代。小さなころから、彼女の童話にとても影響を受けたと言う。そして母親となった今、小学生の息子2人に読んできかせているという。今、読んでいるのは、木の切株が、両親が外で仕事に忙しくてかまってくれない孤独な子に、話しかけるというお話。

今でもノルウェーの子どもたちに一番の人気は、「長靴下のピッピ」の作家アストリッド・リンドグレーンと、このアンネ・カット・ヴェストリだという。2人の偉大な童話作家は、20世紀初頭に北欧に生まれ、それまでの伝統的な性役割をとらわれない童話を数々世に出した。しかも、2人とも女性作家。20世紀の北欧の人々は、小さな子ども時代にこうした童話を読んで大きくなったのである。これが北欧の男女平等意識形成に一役もふた役もかったことは間違いない。
by bekokuma321 | 2008-12-16 01:46 | ノルウェー