人気ブログランキング | 話題のタグを見る

21世紀のマリアンヌ

21世紀のマリアンヌ_c0166264_024023.gif


「21世紀のマリアンヌは、私たち」

こんなスローガンを掲げて、非白人のフランス女性たちがデモをした。

マリアンヌという女性名は、フランスを擬人化した名前。かつて女優のブリジット・バルドーとかカトリーヌ・ドヌーブが代表していたという。

でも、今やフランスは大の多民族国家。「21世紀のマリアンヌは、私たち」と言うのは、アフリカ、中近東、アジア系フランス人たち。

彼女たちの多くは、郊外に建設された大規模住宅群に住んでいる。そこは犯罪、とりわけ少女たちへの性犯罪の多発地帯。家に帰れば、「いい子は家にいるもの」という親たち。はみ出し女はレイプされても当然という空気が蔓延している。失業率も高い。若い女たちのフラストレーションは高まるばかりだ。しかし、人権の国フランスは、何もしてくれない。

2003年2月、こうした非白人女性たちがかかえる深刻な問題を社会に認知させようと、ある女性がサイレント・デモを組織した。「主婦でも売春婦でもなくNi Putes Ni Soumises (Neither Whores Nor Submissives) 」と名づけられた。

女性差別と民族差別との二重の偏見におかれている女たちの現実に目を向けよ、というデモンストレーションは続いた。移民住居が多い地区のあちこちで・・・。そして2003年3月8日、パリで3万人のデモ行進となって大爆発。彼女たちの力強いデモは、首相にも迎えられた。

そして2003年7月14日、パリ革命記念日に、「主婦でもなく売春婦でもなく」は、14人のマリアンヌの巨大なポスターで国会議事堂を被うというプロジェクトを実現させた(上の写真)。

2003年7月のパリ、セーヌ河。出張中の私の目の前に国会議事堂が現れた。そこには「21世紀のマリアンヌ」が掲げられていた。女たちは、みな自由の帽子(*)をかぶっている。国会議事堂にぶら下がっていた、女たちのポスターに、どれだけ驚いたことか。2003年7月、訪仏の奇跡。

関連サイト
http://www.nationmaster.com/encyclopedia/Ni-Putes-Ni-Soumises
http://www.taiga-press.com/features/ni_putes/
http://www009.upp.so-net.ne.jp/mariko-m/FranceDietBuilding.htm

「*」自由帽子はフリジア帽のこと。赤い三角帽。
by bekokuma321 | 2003-10-06 00:14 | ヨーロッパ