国連から日本政府への勧告

10月30日、国連人権委員会は、「市民的政治的権利に関する国際規約」(自由権規約)の実施状況に関する日本政府報告書を審査し、結果を公表しました。10年ぶりのことです。

問題は、日本政府に向けられたこの最終見解を、いかに政府に実行してもらうかです。女性運動の出番です。

公表された英文を、要約します。

委員会は、10年前の勧告の多くが実行されていないことを、表明しています。そして、司法界において「市民的政治的権利に関する国際規約」が徹底されていないことが強調されています。

具体的には、下級審(高裁・地裁)が「市民的政治的権利に関する国際規約」違反をしていないかについて報告がないことを指摘し、規約について裁判官、検察官、弁護士への専門的研修に組み入れること、規約を下級審を含むあらゆる司法過程に徹底させるよう、政府に求めています。

司法界に向けては10年前最後のほうでしたが、今回は、指摘・勧告の最初にあげられています。

そして、「慰安婦」問題について、日本政府に立法・行政措置を講じ、被害者への公式謝罪すること、国家による補償などの対応を求めるなど、非常に具体的です。そのほか、民法における差別、政治における女性の不参加、労働における女性差別、性暴力、性的マイノリティなどに対する差別、人身売買、婚外子、在日韓国人の年金権などなどが指摘され、勧告とともに明記されています。

その中から、「政治における男女平等」についてまとめると・・・

国会議員における女性は全体の18.2%、政府のトップポストを占める女性は1.7%にすぎない。その上、数値目標は2010年までに5%と余りに低い設定であると指摘。立法によるクオータ制導入などの特別措置をとること、女性進出の数値目標の見直しをすることによって、政治における男女平等参画を達成するよう、いっそう努力をすべきと求めています。

この男女平等の政治参加の根拠は、「市民的政治的権利に関する国際規約」2条(1)、3条、25条、26条です。

政界への女性参画については、10年前には取り上げられていませんでしたが、今回の最終見解では12項に掲げられています。全体は34項。

【政治における男女平等の原文】
12 The Committee notes with concern that, despite numerical targets for the representation of women in public offices, women hold only 18.2 percent of the seats in the Diet and 1.7 percent of government posts at the level of directors of Ministries, and that some of the numerical targets set in the 2008 Programme for Accelerating Women’s Social Participation are extremely modest, such as the 5 percent target for women’s representation in positions equivalent to directors of Ministries by 2010. (arts. 2 (1), 3, 25 and 26)

The State party should intensify its efforts to achieve equitable representation of women and men in the National Diet and at the highest levels of the government and in the public service, within the timeframe set in the Second Basic Plan for Gender Equality adopted in 2005, by adopting special measures such as statutory quota and by reviewing numerical targets for women’s representation.


■市民的政治的権利に関する国際規約(和訳)
http://www.nichibenren.or.jp/ja/kokusai/humanrights_library/treaty/liberty_convention.html

■国連人権委員会による日本政府報告書に対する「最終見解」全文http://www2.ohchr.org/english/bodies/hrc/docs/co/CCPR-C-JPN-CO.5.doc

■日本政府報告書
http://daccessdds.un.org/doc/UNDOC/GEN/G07/415/73/PDF/G0741573.pdf?OpenElement

■国連人権委員会から日本政府への質問
http://www2.ohchr.org/english/bodies/hrc/docs/AdvanceDocs/CCPR-C-JPN-Q5.doc

■日本政府から国連人権委員会への回答
http://www2.ohchr.org/english/bodies/hrc/docs/AdvanceDocs/CCPR-C-JPN-Q-5Add1.doc

■国連人権委員会・94回詳細(13-31 October 2008, Geneva)
http://www2.ohchr.org/english/bodies/hrc/hrcs94.htm

■アジア女性資料センターがいち早く一部を和訳し、コメントとともに公表しています。
http://ajwrc.org/jp/modules/bulletin3/index.php?page=article&storyid=36

■10年前の日本政府に対する国連人権委員会の見解http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kiyaku/2c2_001.html (この時の勧告がほとんど守られていないことがわかる)
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by bekokuma321 | 2008-11-02 23:55 | その他