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女たちのワシントン行進は大成功だった。主催者の予想をはるかに超えて、ワシントンでは50万人。全米では100万人を超す大行進となったらしい。

女たちのワシントン行進のシンボルは、ピンクのニット帽だった。通りを埋め尽くした人、人、人。頭には温かそうなピンクの帽子がのっかっていた。

ホームページによると、ピンクのニット帽をかぶろうというプロジェクトを思いついたのは、ロスアンジェルスのクリスタ・ス―とジェイナ・ジ―マンの2人。すぐにア―テストのオーロラ・レディも加わった。

これをかぶって、たくさんのフェミニストたちを元気にできたらすてきだね。そうね、1月21日は寒いしね。

こんな女たちの思いは、またたくまに形になった。ホームページで、簡単な編み方が指南される。編み物は昔から女たちの得意技。ワシントンに行けないお婆ちゃんが編んで参加する孫やその友人にプレゼントする。どっさり編んで知人の店に置いてもらい、その日までとりにきてもらう・・・。

そして、1月21日。

全米の女たち、男たちの行進を明るく盛り上げる最高の小道具となった。いや、アメリカだけでなく、世界何十カ国で行進があったらしい。私には、さきほどノルウェーから、ピンクの帽子をかぶってデモに参加した男性の写真が届いた。

さて、この帽子には Pussyhatという名がつけられている。Pussy は女性器を指す俗語で、女性自身を指すこともある。「お前は女々しい奴だ(You are a pussy)」と男性を侮蔑するときにも使われる。卑猥なニュアンスがまとわりつき、女性がこのことばを口にすることはあまりなく、男性でも口にする人は多くないように思う。

しかし、あろうことか、ドナルド・トランプは、この単語を使ってワイ談を交わしていた。その録音がそっくり「ワシントン・ポスト」(2016年10月8日)で公開された。さすがの彼も「それはでっちあげだ」とは言えなかった。

彼の言葉は以下のとおり。これほどまでに女性を蔑んだ言葉があろうか。訳す労をとる気にならないので、自分で訳してほしい。

"I'm automatically attracted to beautiful [women]—I just start kissing them. It's like a magnet. Just kiss. I don't even wait. And when you're a star they let you do it. You can do anything ... Grab them by the pussy. You can do anything.”

ロスアンジェルスの3人や、賛同者たちは、「おびただしい数のピンクのPussyを見て、彼はどう思うかしらね」と、クスクス笑いながら編み棒を動かし続けたのではないだろうか。

1月21日、大統領トランプがその光景を見たかどうかは不明だが、ピンクのふわふわしたニット帽は最高の武器となって、彼の女性蔑視に一矢報いたことは確かだ。

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Pussyhat Project
Trump recorded having extremely lewd conversation about women in 2005(トランプの卑猥な言葉が録音されているワシントンポスト記事)
女たちのワシントン行進始まる


【写真上:Pussyhat。下:ポスター「女性の権利は人権である」。ともに、Pussy Projectより】
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# by bekokuma321 | 2017-01-23 00:10 | USA | Trackback

ドナルド・トランプがアメリカ大統領に就任した。就任演説は、アメリカ第一を掲げるエキセントリックな内容だった。大統領就任後、執務室に入った彼が第一にやった仕事は、オバマケア(公的健康保険)つぶしだった。

しかし、女たちの闘いはこれからだ。

まずは、「女たちのワシントン行進」が、現地時間1月21日10時に始まる。もうじきだ。全米から長距離バスに乗って、ワシントンにやってくる。20万人が集まると言われている。

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集合場所は、アメリカの首都ワシントンのキャピタル・ヒル、独立通りと第3通り南西の交差点。

「女たちのワシントン行進」の目的は、アメリカ大統領府を含む、全ての行政府に向けてメッセ―ジを送ることである。メッセージはーー私たちは連帯して、ここに立ち、選挙で選ばれたすべての議員たちが、女たち・家族・地域の権利の擁護のために行動すべきだという願い。

「女たちのワシントン行進」は英語でWomen’s March on Washington 、略してWMW。最新情報はホームページwomensmarchフェイスブックWMWで見られる。Youtubeでも、なぜ自分は行進するかという一言メッセージを視聴できる。老若男女、車いすの人、LGBTIの人・・・。写真は、「私は、行進します。なぜって、私の人生がかかっているから」と言う少女。

昨年の12月初めには、WMWのホームページに記者発表を載せていた。反女性、反環境、反福祉、反多様性の大統領に対するファイトバックに向かって、着々と準備をしてきたアメリカ女性に心から敬意を表したい。

ワシントンまで行けない人たちによって、世界各地で同様の行進も予定されている。すでに20カ国以上で、スタートしているという。

The Women’s March on Washington: Here’s what you need to know
Women's March on Washington, London and global anti-Trump protests - live coverage
アメリカ国務長官のLGBTIに対する謝罪
展覧会「嫌な女」
白人男性大統領の陰にある「勝者総取り」「隠れトランプ」
アメリカに反フェミニスト大統領誕生
アメリカ大統領選と「嫌な女」
オバマ一般教書演説と女性 
アメリカ公的健康保険法、下院を通過
アメリカ健康保険制度改革、山場
ついに自由を我らにーー米国の公民権運動(by American Center)(pdf)
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# by bekokuma321 | 2017-01-21 19:25 | USA | Trackback

c0166264_9421111.jpgアメリカ政府からのメールによると、アメリカ合衆国国務長官ジョン・ケリーは、2017年1月9日づけで、次のような謝罪をした。公式の訳があるかもしれないが、大事な問題なので、ポイントのみ要訳する。

「国務省長官を含む、これまでのキャリアを通じて、私は、人権の尊重は個々人すべての人を尊重することであるとの認識に立って、レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(出生時に診断された性と自認する性の不一致)、インターセックス(両性具有者)グループを支持する立場を堅持してきた。

しかしながら、さかのぼれば1940年代、いやその後、何十年間も、性的指向にもとづいて、そうした人に辞職を強要したり、そうした応募者を雇わないようになど、雇用ならびに採用の際、差別をしてきた、すべての雇用主のひとつ、それが国務省だった。

こうした行為は、今日と同様に当時も間違った行いである。国務省を代表して、過去の行為によって影響を受けた人たちに謝罪する。」

英文は、Apology for Past Discrimination toward Employees and Applicants based on Sexual Orientation
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# by bekokuma321 | 2017-01-16 09:43 | USA | Trackback

展覧会「嫌な女」

展覧会「嫌な女」が1月12日からニューヨーク市など全米でスタートした。

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「嫌な女」は、アメリカ大統領選のテレビ討論会で、トランプ候補がクリントン候補に向かって言い放ったことばだ。

ネットで録画を視聴したが、トランプ候補は、正確には「なんて嫌な女だ」と言った。クリントン候補が、富裕層に増税をして社会保障にもっとお金を回すべきだ、と提案している真最中のこと。トランプ候補は、クリントン候補に最後まで言わせてなるものか、とかぶせて言ったのだ。

聞きしにまさる性差別主義者だ、とわかった。

この討論会以降、アメリカでは、クリントン候補を援護するツイッタ―が増えて無数の女たちが、「私も嫌な女だ」と宣言しはじめた。その1人は、「嫌な女 Nasty Women Vote」と書いたT-シャツを制作・販売したという。大統領就任式にあわせて、女性たちのデモ行進も予定されていて、その数、ウン十万人に上るらしい。

さて、展覧会「嫌な女」は、そうした女性の怒りを芸術で表現しようというプロジェクトだ。同ホームページによると、「女性の権利、個人の権利、妊娠中絶の権利を奪い取られそうになっている『いやな女』に連帯して企画された展覧会」。トランプ大統領就任を前に、これらの権利を守っている組織を支援するために「寄付を募る目的」も持っている。

ニューヨーク市だけでなく全米各地で同じ目的の展覧会がいっせいに開かれる予定だ。賛同する芸術家は、今のところ700人以上にのぼるという。アメリカ女性のファイトバックの速さ、巧みさには、ホントに脱帽する。ホ―ムページをのぞいただけだが、実際に行って見てみたいものだと思う。

Nasty Women Exhibition
facebook_nasty women project
「嫌な女はどこにでも行ける」  
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# by bekokuma321 | 2017-01-14 15:28 | USA | Trackback

Cruel Japanの本

c0166264_13113581.jpgかゆい所に手の届くオモテナシ文化、美しさと健康を兼ね備えた和食、お尻の面倒まで見てくれるウォシュレット……ああ、なんて日本は Cool なんだと外国人が礼賛するTV番組が人気を呼んでいる。

しかし、この国は Cool Japan どころか Cruel Japan(残酷な日本)なのだと思い知らせてくれる本が出た。新刊本『雇用差別禁止法制の展望』(浅倉むつ子著、有斐閣)だ。

第1子出産を機に退職する女性は依然6割もいる。平均賃金は男性100としたら女性70.6。しかもこれは正規のみであって、働く女性の54.7%を占める非正規は、調査もしてもらえない。

正社員であっても出発点で男を「総合コース」女を「一般コース」と分別して、女性を低賃金でこき使う。性による賃金差別禁止を明記した労基法4条など、実はザル法なのだ。

「ポジティブ・アクション」も「間接差別」も、日本に上陸したとたん企業に都合のよい「日本的特色を持った中身」に変えられる。

しかし、泣き寝入りしない女性たちは、裁判や国際機関に訴えて闘ってきた。「昇格・昇進に係る男女差別に関する判例」だけで、22件にのぼる。

そのなかで「男女別コース制度が認定された」裁判は4件。本書が真っ先にあげるのは、1980年代の「日本鉄鋼連盟事件」で、女性7人が日本鉄鋼連盟を訴えた。判決は、仕事を「男性コ―ス」「女性コース」と分けるのは憲法違反であるとした。画期的だった。支援団に加わっていた私は、飛びあがって喜びたかった。が、しかしながら、7人が採用された当時にさかのぼれば「公序良俗には違反しない」と、続いていた。私は、この判決にひどい脱力感を覚えた。

2000年にはいり、性別役割分業意識が少しゆらぎはじめたその矢先、ゆりもどしの動きが日本列島をおおった。いわゆるバックラッシュだ。その例として、大阪府豊中市で起きた「すてっぷ館長雇い止め事件」がp284、p334~360に紹介されている。

「日本会議」系の議員らよって、男女共同参画推進センター館長に「威圧的で精神的な暴力が駆使された」。こう述べた判決は、館長が受けた侮蔑的な仕打ちを「人格権侵害」と断じた。館長とは不肖私のことだが、最高裁の勝訴確定まで7年もかかった。

本書は言う。「日本のジェンダー格差の第一の要因は、日本社会に根強い性別役割分業にある」「第二の要因は、企業社会に根強く定着している制度や慣行」。だから、あらゆる領域を網羅する「包括的な差別禁止法」が必要だと、筆者は強調する。

膨大な資料を駆使して、日本の労働界にまんえんする性差別を鋭く衝く大変な労作だ。

館長雇い止め・バックラッシュ裁判
浅倉むつ子「男女共同参画社会実現のための訴訟でした」
読者は二つの怒りを体験する:『バックラッシュの生贄』を読んで
浅倉むつ子意見書を読んで
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# by bekokuma321 | 2017-01-12 13:55 | その他 | Trackback