徳島県藍住町の健康推進課長ら2人の男性が、町の女性職員にセクハラをして、4月7日、処分を受けていたという報道が飛びこんできた。女性職員が提訴を決意したから、男性たちの非道な行いが知られることになったようだ。

徳島新聞によると、男性上司らは「女性に性的関係を迫ったり、手などを握ったりした」。女性職員は、損害賠償を求めて徳島地裁に提訴するという。「訴状によると、女性は2010年、同ステーションに配属された。2013年ごろから、性的な内容のメールを送られるなど複数の同僚からセクハラを受けるようになった。しかし、被害を町側に訴えても、しかるべき対応は取られなかったと主張している」

職場の女性を同僚と見ないで、性的対象と見る下劣な男性がまだいる。セクハラは女性の尊厳を奪い、働く意欲をそぐ行為であり、労働権の侵害だ。

藍住町といえば、町民が選んだ唯一の女性議員西岡恵子さんが、「電気水道の使用量が少ないので町内に生活実態がない」などという変な理屈で、町議会から議員職を奪われた。許せなかった西岡さんは、徳島地裁に町を提訴。本年6月、町の変な理屈は最高裁によって門前払いにされた。西岡さんの完全勝利だった。

この最高裁の決定は、苦しい闘いを続けてきた西岡さんに大きな喜びを与えただけでなく、数の力を背景にした横暴な言動に苦しむ日本中の少数派にとっても大きな励ましとなるものだ。セクハラを受けた女性職員が男性上司を相手に提訴を決意した背景には、西岡さんの最高裁勝利があるのではないか。

「西岡さんの裁判がもたらしたものを未来につなげたい」と、報告会が8月6日午後2時、徳島市阿波観光ホテルで企画されている。大勢の参加を得て、議会や行政における女性への暴力一掃にむすびつけるため、知恵をしぼろう。ぜひご参加ください。

c0166264_151431.jpg


藍住町職員がセクハラ 町、上司ら2人懲戒処分 (徳島新聞2017/7/19 10:01)
西岡さん最高裁勝訴おめでとう!
西岡議員、勝訴
[PR]
# by bekokuma321 | 2017-07-20 02:32 | その他

民進党の蓮舫代表が2017年7月18日、「二重国籍でないことを証明する」ため、戸籍の写しなどを公開した。驚くともに、強い違和感を覚えた。

反差別国際運動(IMADR)、移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)、外国人人権法連絡会、人種差別撤廃NGOネットワークは、それに先立つ7月14日、「個人情報開示をしないで」と要請している。

声明文によると、個人情報の開示を求めることは、「出自による差別を禁じている憲法第14条及び人種差別撤廃条約の趣旨に反する差別」であるから応じる必要はない、と言う。そのとおりだ。声明を下に紹介する。


●●●● 蓮舫民進党代表の個人情報開示意向表明に関する声明 ●●●●

蓮舫民進党代表は、自身が二重国籍であるかどうかをめぐって一部で批判を受けたことに対し、自らの国籍に関する個人情報を開示するとの意向を示しました。

私たちは、この意向表明が、蓮舫代表への差別に対する防御行為であることは理解しえますが、以下のように個人情報の開示は不要であり、かつ、さらなる差別の助長につながるという強い懸念がありますので、開示しないよう要請します。

そもそも蓮舫代表は、日本国籍を有していることが明白である以上、国会議員になることや民進党の代表になることに法的な問題はまったくありません。

また蓮舫代表は、1985年の国籍法改正にともなう経過措置として届出によって日本国籍を取得したとされています。この届出による国籍取得の場合、元の国籍を喪失しなければならないという規定もありません。

加えて、ペルー元大統領のフジモリ氏がペルーと日本の二重国籍をもちながら2007年の第21回参議院選挙に立候補したときは、こうした疑義や批判は一切でませんでした。

このように、法的に問題がないにもかかわらず、蓮舫代表に、個人情報の開示を求めることは、出自による差別を禁じている憲法第14条及び人種差別撤廃条約の趣旨に反する差別そのものであると考えます。

1975年の「部落地名総鑑事件」の教訓をもとに、企業による採用選考の場で応募者に戸籍謄本の提出や本籍地の確認を求めることは禁じられるようになりました。このように、戦後日本における人権確立の歴史のなかで共有されるに至った認識・規範に反して、蓮舫代表に個人情報の開示を求めることはこの歴史を覆すことに他なりません。また外国にルーツをもつ人々をはじめ、マイノリティの日本国籍者に「日本人であること」の証明を迫ること自体が差別であり、同様の立場にたつ人々への影響は計り知れません。

日本では、統計のある1987年から2015年までに生まれた、両親のうち一方が外国籍者である子どもは約48万人にのぼります。蓮舫代表が生まれた1967年にまで遡るとさらに多くの人数になると推測されます。また過去30年間に帰化した人々も36万人を超えています。さらに、日本生まれの外国籍者や、日本に移動・定住し、この社会を帰属の場と考える外国籍者も多くいます。このような外国にルーツをもつ人々が、スポーツ、文芸、企業、学術界など様々な場面で活躍をしていることは周知のとおりです。つまり、日本社会はすでに多様なルーツをもつ人びとから構成されており、蓮舫代表は、ご自身も述べているように、そうした多様性ある21世紀の日本社会を象徴する存在だといえるでしょう。

こうした現実をふまえ、民進党には、「一人ひとりの基本的人権をさらに尊重する社会、多様な個性や価値観が認められる人権尊重社会」の「実現」(民進党政策集2016)を目指す公党として、率先した役割を果たしていくことを期待します。

以上

特定非営利活動法人 移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)
外国人人権法連絡会
人種差別撤廃NGOネットワーク
反差別国際運動(IMADR)

c0166264_10332625.jpg
 ▲冊子『日本のマイノリティ女性の現状と課題』。同著によると部落の女性を調査した結果、結婚のとき7割、就職やデートのとき6割、日常的に5割が、「差別を感じた」。 Situations and Challenges of Minority Women in JapanーーVoice of Ainu, Buraku and Zainichi Korean Women(pdf)


イラク移民の少女が国会議員有力候補になれる国
先住民サーミのファイトバック
[PR]
# by bekokuma321 | 2017-07-19 10:53 | その他

c0166264_20595590.jpg2017年7月、小冊子「法律を女性と男性のために――ジェンダーに敏感な法制度ガイドブック」が刊行された。

発行はOSCE(欧州安全保障協力機構)。OSCEは欧州、中央アジア、北米の57カ国からなる安全保障組織。ハードな安全保障だけでなく、人権・基本的自由の尊重に至るまで包含しており、選挙監視、男女平等、メディアの自由についても活動する。

女性が国会議員の25%程度まで増えた国々が多く、ジェンダーに敏感な法制度をどう作るかに焦点が移ったのだろう。刊行にあたって、副代表カタジーナ・ガルダプアーザKatarzyna Gardapkhadzeは強調する。

「安全で正義に満ちた社会をめざすなら、ジェンダーを主流化する政策を優先させなければならない。そのためにジェンダーに基づいた分析をすること、国会議員の長期的な思考と日々の仕事に、ジェンダーに敏感な方策が確実に含めることが肝要である」

さて、女性議員がほとんどいないと、こうなるという見本のような議会運営が日本の先の国会で起きた。

ほぼ全野党が猛反対するなか、共謀罪が強行採決された。が、その一方、政党などに女性議員増を促す法案は成立を阻まれた。法案が提案されるはずの「内閣委員会」が開かれなかったのだ。国会の会期が終盤になって、共謀罪法案や森友・加計問題への与党対応に憤った野党が抵抗したからだ。やむをえなかったのはわかる。しかし、女性議員増法案は与党から野党まで歩み寄って作った全会一致の法案だった。タイミングを見て迅速に内閣委員会にかけられたはずだ。なんという理不尽!

衆院の女性議員は9%しかいない――世界193カ国中164番目。この男性偏重構造を変えなければこんな理不尽はまた起きる。

c0166264_2143648.jpgガイドブック「法律を女性と男性のために」の活用には、女性議員をもっと増やさなくては話にならない。

同OSCEから6年前に刊行された「立法府の男女平等――6つの行動計画」が日本にはより役に立つ。6つを和訳するとーー。

1 憲法で議員候補の男女平等を保障
2 選挙制度を比例代表制にし、できるだけ多数定数の選挙区に
3 クオータ制の合法化
4 政党の内規男女平等候補選定を規定
5 政党・メディア・市民団体が先頭にたって女性の訓練や助成金
6 議会ルールを女性が働きやすい環境に改善

日本にもっとも大事なのは、「2 選挙制度を比例代表制にし、できるだけ多数の選挙区に」であろう。本書には、比例代表制選挙がもっとも女性議員を増やせると書かれている。加盟57カ国のうち54カ国の選挙制度を比べたら、2000年も2010年も、比例代表制選挙の国の女性議員が多かった。棒グラフを作ってみた。

c0166264_2151273.jpg


図表にはないが、2000年13カ国で行われていた小選挙区制が2010年には8カ国に減って、逆に、比例代表制をとる国が29か国から35カ国に増えていた。注目にあたいする。

Gender Equality in Elected Office: A Six-Step Action Plan
OSCE
選挙制度は政治を根本から変えた(ニュージーランド)
比例代表制は女性や弱者が当選しやすい
国会議員年収も政党交付金も世界最高額
[PR]
# by bekokuma321 | 2017-07-17 21:26 | ヨーロッパ

ノーベル平和賞の2人

7月13日、中国政府を批判したことで有罪となり、服役していたノーベル平和賞作家の劉暁波(りゅうぎょうは)が61歳の生涯をとじた。妻の劉霞(りゅうか)は長年自宅軟禁にされたままである。

今日の報道によると、ノルウェー・ノーベル委員会の委員長ベリット・ライス=アンネシェン(労働党)は、「病状が末期段階に至る前に、劉暁波さんが十分な治療を受けられる施設に移されなかったことに、動揺している」「彼が亡くなったことに中国政府は重い責任を持つ」と語った。そして、彼女は、ノーベル平和賞を選定するノーベル委員会代表として中国に渡航申請をしたが、ビザがおりなかったとも告げた。

劉暁波(りゅうぎょうは)とよく似た境遇の人について書かれた、数年前のタイム誌の記事がある。

タイム誌(2014年10月)によると、ジャーナリストのカール・フォン・オシエツキーは、ドイツの再軍備の事実を密かに調べあげて報道。その後、再軍備はベルサイユ条約に違反だと公表。1931年国家反逆罪で投獄される。

ほどなくナチスが政権につき、1933年、彼は再び逮捕されて、今度は強制収容所に送られた。アインシュタインやロマン・ローランなどの働きかけもあってか、1935年、ノルウェーのノーベル賞委員会は、カール・フォン・オシエツキーを平和賞に選んだ。その知らせに憤ったナチス新聞は、「ノルウェー政治は、叛逆者に授与してドイツ国民の顔を平手打ちするようなことをしない方法を十分知っているはずだ」と書いた。

恐れをなしたのか、ノルウェーのノーベル賞委員会は、表向きは「アフリカの紛争やアジアの政情不安に配慮して」という理由をつけて「今年のノーベル平和賞該当者なし」とした。ところが、翌年、同委員会は、カール・フォン・オシエツキーを、ノーベル平和賞受賞者に選んだ。そのニュースにヒトラーは激怒し、「ノルウェーとの国交を断絶する。今後、ドイツ人はノーベル賞をいっさい受け取らない」と脅したらしい。

カール・フォン・オシエツキーはその頃、病状が極度に悪化して収容所(または刑務所)からベルリンの病院に移送された。おそらくは国際的な反応を気にかけたのだろうとされている。ナチスは彼にノルウェーへの渡航パスポートを出さなかったため、授賞式には出られなかった。そして1938年、彼は亡くなった。48歳。彼の悲劇はまだ続き、彼の弁護士だと称する詐欺師が、ノーベル平和賞の賞金全額を懐に入れていたのだという。

劉暁波とカール・フォン・オシエツキーには、国家の違いに加えて、80年という時の差がある。しかし、2人の共通点の多さに驚かされる。

政府の姿勢に反対の意思をペンの力で表明したこと
政府から迫害を受けても投獄されても批判の声を上げ続けたこと
政府はノーベル平和賞委員会のあるノルウェー政府に脅しをかけたこと
政府は病気が悪化してから国際批判をかわすかのように病院に移送したこと
政府はノーベル平和賞授与式に参加させなかったこと
ペンによる政府批判に対して、政府は獄死に至らせる措置で応じたこと

c0166264_2346035.jpg
           ▲ノーベル平和賞授与式が行われるオスロ市庁舎


Conmemorating Liu Xiaobo at the Nobel Peace Center
Reiss-Andersen fekk ikkje levere visumsøknad til Kina
The Tragic Nobel Peace Prize Story You've Probably Never Heard
China: Free Liu Xiaobo and grant him all necessary medical care
エドワード・スノーデンは現代のオシエツキー
ノ―べル平和賞と劉霞
ノーベル平和賞選考委員会
劉霞(りゅうか)さんの声明
ノーベル平和賞授賞式が行われるオスロ市庁舎ホール
China's voices of dissent
[PR]
# by bekokuma321 | 2017-07-14 23:53 | アジア・アフリカ

c0166264_13295721.jpg

トランプ大統領は、国の財布のひもをしめることで、女性の命取りをはかろうとしているようだ。つまり、おびただしい数の女性たちの命が、米国予算削減によって、危険にさらされようとしている。

国内では、健康保健制度を改悪する法律が下院で可決され、いま上院で審議中だ。可決されるとーーメディケイド予算が削減され、妊娠年齢にあたる1300万人の低所得女性に深刻な影響をもたらす。避妊や性病予防教育をしてきた「家族計画団体」への予算削減によって事業がストップする。私的保険制度の対象から妊娠中絶ケアをはずされかねない。

国外に対しては「世界緘口令Global Gag Rule」の厳格化を決めた。世界緘口令とは、開発援助予算を妊娠中絶の促進に使われないような条件をつけるもので、共和党大統領が進めてきた。しかしオバマは、大統領指令によってその施行をとめて、世界の女性団体から大喝さいを受けていた。

ところが、トランプは、「世界緘口令Global Gag Rule」の復活を断行。単なる復活ではなく、より一層厳しい改悪へと、その手を広げた。

世界各国のNGOに、誓約署名をさせ、それを拒んだら、HIV対策、初期診療(primary care)、栄養補給、結核感染対策、マラリア対策を含めて、健康にかかわる全ての資金援助を受けられなくするというものだ。要するに、開発途上国の健康保健施策の息の根がとめられるのだ。これは、世界のとりわけ貧しい国々における数百万人の女性の命がかかっているとされる。

すでにトランプは、今年4月、国連人口基金UNFPAへの資金提供をやめた。それによってイラク、ネパール、スーダン、シリア、フィリピン、ウクライナ、イエメンなどで、ジェンダーに基づく暴力や妊産婦死亡と闘ってきたUNFPAに、著しい支障をもたらしているといわれている。

この緊急問題にどう対処すべきか。それを話し合うために、7月11日、国際会議「家族計画グローバル・サミットGlobal Family Planning Summit」が、ロンドンで開催された。報道から発言のポイントを訳す。

ホスト国イギリスの国際開発大臣プリティ・スシル・パテ(保守党)は「この問題の先端に対処しなければ貧困とは戦えない。少女・女性が自分の体をコントロールするチャンスを得ずして、彼女らの未来などない」と述べた。

すでに、スウェーデン、ノルウェー、カナダ、オランダ、ベルギー、デンマークは、トランプによる妊娠中絶施策の遅滞・禁止を知って、特別予算を組んで、資金援助を表明している。

c0166264_15483223.jpgそのひとつカナダの国際開発大臣マリー=クロード・ビボー(自由党、左)は、自国予算の使途内容を示し、アフリカを中心とする13カ国への資金援助のうち、10代の少年少女に対する「産む産まないことを決める権利と健康」を土台にした性教育に使われるようにすると述べた。彼女は、かねてから「私の政策優先課題の最優先課題は少女・女性です」と公言している。

「命の再生産――産む産まない権利と健康」は重要な政治課題だ。世界の多くの女性団体や関連クリニックや政府は、トランプ政権の流れに抵抗を示しながら、少女・女性たちのために闘う姿勢を示している。日本はどうだ。国会で具体的動きがないのか、報道からは何ら伝わってこないように思える。

それどころか、日本の性教育は、日本会議系国会議員山谷えり子などによる度重なる「性教育バッシング」で、すくなくとも教育現場の性教育は風前のともしびだ。

【写真】「2016年、世界で、2100万人の15歳~19歳少女が妊娠した。うち約半数は望まない妊娠だった」と記されている(ロンドンの「家族計画グローバル・サミット」で配布されたパンフレットより)

https://www.guttmacher.org/
Melinda Gates 'deeply troubled' by Donald Trump's planned budget cuts
Global gag rule: what impact will it have where you live?
These countries are pledging to fill the funding gap left by America’s controversial ‘global gag rule’
Family Planning Summit
Norway pledges $10 million to counter Trump's global anti-abortion move
Trump Signs Law Taking Aim at Planned Parenthood Funding
[PR]
# by bekokuma321 | 2017-07-12 14:00 | USA